「電力システム」と「ICT」(情報通信技術)を連係させ、電力を効率的に活用して節電・省エネを実現するスマートグリッドは、その実現に向けて各国で国家プロジェクトの推進や多額な予算が組まれ、国際的な標準化機関等でさまざまな取り組みが活発に行われている。
米国では、NIST(米国国立標準技術研究所)やSGIP(スマートグリッド相互接続性パネル)の取り組みに大きな変化があった。1つは、2013年1月にSGIPがそれまでの官民合同の取り組みから産業界主体のNPOへと移行したことである。この新しいSGIPは「SGIP 2.0」と呼ばれ、引き続きスマートグリッド関連の標準化活動において重要な役割を果たしている。さらに、もう1つの大きな変化は、「NISTのリリース3.0ドラフト版」(スマートグリッドの相互接続性標準に関するフレームワークとロードマップ ドラフトリリース3.0)が2014年2月付けで発表されたことである。
さらにITU-Tにおいても、NISTの「スマートグリッドの概念モデル」をベースにした検討が開始されおり、スマートグリッド関連の活発な標準化活動にいち早く対応するため、SG15(第15研究委員会)内のWP(作業部会)において、従来のQ.4(課題)がQ.4a、Q.4c、Q.4bの3つに分割された。とくに、(1)Q.15(スマートグリッド向け通信の標準化)において「G.nbplc」(低速)関連の標準化、(2)Q.18(ブロードバンドネットワーキングの標準化)において「G.hn」(高速)関連の標準化、が進められている。
これら標準化の最も重要な技術的なテーマは、スマートグリッドを構成する機器やシステム間での「相互運用性」である。オープンな国際スタンダードのうえに、新たなビジネスが展開されることを期待する。