≪3≫袖ケ浦火力発電所のプロフィール
〔1〕発電部:360万kWの火力発電所
最初に、ITやIoTなどの関係者にとっては、発電所の情報について詳しく触れる機会が少ないので、ここで袖ケ浦火力発電所のプロフィールを簡単に紹介しておこう。
東京電力の袖ケ浦火力発電所は、写真1に示すように、東京ガスとLNG共同基地を運営する敷地面積112万平方メートル(東京ドーム24個分の広さ)内に設置されている。
袖ケ浦火力発電所では、図1に示すように、ボイラ内で、LNGタンクから送られてくるLNGガスを燃やして、高温(538℃)・高圧〔約25 MPa(25メガパスカル)〕の蒸気を発生させる。その蒸気を蒸気タービンの羽根車に吹きつけて回し、その蒸気タービンに直結させた発電機を回転させて発電する、汽力発電設備である(汽力発電:蒸気の膨張力を利用した発電方式)。
その発電量は、表1に示すように、40年以上も前の1974年から稼働している1号機(写真2)や2号機をはじめ、3号機、4号機も含めて、現在では合計360万kW(3600MW)の電力を発電している。
写真2 袖ケ浦火力発電所1号機(60万kW)の外観(プライマリ:約30万kWを発電)
出所 編集部撮影
袖ケ浦火力発電所で発電された電圧2万Vの電力は、発電所内の変電設備で25倍の50万Vに昇圧注4され、東京電力が建設した基幹送電系統の一つである、日本初の50万V送電線「新袖ケ浦線」(しんそでがうらせん、図1の右端の送電鉄塔)によって都心に送電されている。その後、顧客に近い各変電所(電圧の変換所)等で、100V/200Vに降圧され、各家庭などに配電され利用される。
表1 東京電力フュエル&パワー袖ケ浦火力発電所の設備概要
出所 東京電力フュエル&パワー「袖ケ浦火力発電所の概要」2016年4月より
〔2〕LNG燃料部:105万kL(キロリットル)を貯蔵
また、火力発電用の燃料として、世界各国から船で運ばれてくる極低温「-162℃の液体LNG」は、東京湾内のLNG受入基地(東扇島、袖ケ浦、富津、根岸、姉ヶ崎)に貯蔵される。図2に、東京電力のLNGガス導管の系統図を示す。
例えば、前述の写真1に示した袖ケ浦のLNGタンクに貯蔵されたLNG(-162℃の液体)は、基地で液体から気化(ガス化)され、ガス導管を通じて火力発電所に届けられる。LNG受入基地は、季節や時間帯によって刻々と変動する電力需要にあわせて、発電所へ供給するガス量を調整するという重要な役割を担っている。
写真1に示した東京電力分のLNGタンクは合計15基(地上式6基、地下式9基)で、計105万kL(キロリットル)のLNG(液体)が貯蔵されている(表2)。
表2 LNG基地の概要(東京電力フュエル&パワーと東京ガスの共同基地も含む)
出所 東京電力フュエル&パワー「袖ケ浦火力発電所の概要」2016年4月より
(注4)電力(W)=電圧(V)×電流(I)の式から、電圧を25倍にすれば、電流は25分の1になる。このように、電圧(V)を高圧にすることによって、送電線に流れる電流(I)が少なくなるため、電力損失(熱による電力損失)を少なくすることができる。これによって、効率的に電力を送電できるようになる。