[「日本卸電力取引所」の役割と課題]

240社を超えた新電力ベンチャー登場時代の「日本卸電力取引所」の役割と課題 ─第1回─

2014/07/01
(火)
SmartGridニューズレター編集部

卸電力取引所では何が行われているか

それでは、卸電力取引所は具体的にどのようなビジネスを行っているのだろうか。

各電力会社や発電事業者などから、「今日、うちは1kWhを10円以上で売りたい、あるいは11円以上で売りたい」という電力価格を出してもらう。当然のことながら、安い売り入札から優先的に売れていくことになるが、卸電力取引所は売り手と買い手の仲介業務を行っている。買い手は、例えば1kWhを20円以下で買いたい人がいたり、15円以下で買いたい人がいたりするなど、当然のことながら、高く買う人(20円の人)が優先的に買えるわけである。

従来のような垂直統合の場合は、すべてその電力会社の社内で閉じているため、先述した中央給電指令所が発電所のコストをきちんと把握しているなど、各電力会社は相当緻密なシステムをもっている。これによって、最適な経済運転を考慮して、発電の運用を行ってきた。しかし、発電と小売のビジネスが自由化されると、そのすべてを、従来のように自社内だけで最適化することはできない状況となる。そこで、オープンなマーケットにおいて、最も経済合理的な発電と需要の組み合わせをつくることに寄与するという使命が、卸電力取引所に生じてきているのである。

(第2回へつづく)

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