3. 日本や米国におけるWi-SUNの状況
〔1〕日本におけるWi-SUN のトピック
─編集部:Wi-SUN対応のモジュールやWi-SUN対応製品の普及について、最近、具体的にどのような新しい動きがあるでしょうか。
Beecher:Wi-SUN対応のモジュールについて、日本では、2013年10月に東京電力(TEPCO)においてECHONET Lite用のWi-SUN規格が、2,700万の顧客をもつ東京電力のBルート用無線通信方式注2として採用が決定されたことが大きなインパクトとなりました注3(図3)。
このため、東京電力管内で、920MHz帯を利用したスマートメーターの敷設が、2014年4月から開始され、Wi-SUN市場がおおいに盛り上がっています。
なお、日本では、このWi-SUN規格は、TTC標準「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース(IEEE802.15.4/4e/4g 920MHz帯無線)」(JJ-300.10注4)としても制定され盛り込まれています。
また、Wi-SUN関連製品に関してWi-SUN アライアンスは、一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC、注5 東京)を公式認定テストラボとして指名しました(2014年6月30日)。TELECは、Wi- SUN PHY(Wi-SUN物理層)とWi-SUN Profile for ECHONET Lite(ECHONET Lite向けWi-SUNプロファイル)標準に関する認証に必要となるテストサービスを提供します。
これで、世界初のWi-SUN認定テストラボとなったテュフ・ラインランド(TÜV Rheinland、2013年11月)に加えて、Wi-SUNアライアンスの公式認定テストラボは2カ所になりました。このテストラボで認証された製品には、Wi-SUN CERTIFIED(商標)ロゴが与えられ、相互接続性などが保証されることになります。
〔2〕米国におけるWi-SUNのトピック
一方米国では、2014年5月に、720万の電気関係の顧客と50万のガス関係の顧客をもつデュークエナジー社(Duke Energy、ノースキャロライナ州)に続いて、米国最大の電力技術に関する研究所「EPRI」(エプリ。Electric Power Research Institute、米国電力中央研究所、カリフォルニア州パロアルト)がWi-SUNアライアンスに加盟するなど、米国においても急速に市場を広げようとしています。
さらに、高速電力線通信(PLC:Power Line Communication)仕様などの標準規格の策定を行う業界団体「HomePlug アライアンス」とWi-SUNアライアンスの両者は、有線(PLC)と無線(Wi-SUN)のハイブリッドスマートグリッドネットワークを、協力しあって開発することに合意しました注6(2014年5月)。さらに、欧州への展開も強化しています。
▼注2
Bルート:スマートメーターと家庭内のHEMSを結ぶ通信ルート
▼注3
http://www.nict.go.jp/press/2013/10/03-1.html
◆図3 出所
〔http://www.nict.go.jp/publication/NICT-News/1402/01.html〕
▼注4
http://www.ttc.or.jp/jp/document_list/pdf/j/STD/JJ-300.10v2.1.pdf
▼注5
TELEC:Telecom Engi-neering Center、一般財団法人 テレコムエンジニアリングセンター。総務大臣から登録証明機関の登録を受けて電波法に基づいた基準認証を行う組織。http://www.wi-sun.org/news