名古屋大学エコトピア科学研究所 所長の田中信夫氏(写真1)は、エコトピア研究所は、持続可能な社会のための基礎技術として、エネルギー科学や環境システムなど幅広い分野の研究を進めていると説明。今後は、企業との産学連携をはじめ、生活と密着している電力・エネルギーの効率的・経済的なシステムの構築を目指したいと述べた。



トヨタ自動車(株)技術統括部の是石純氏は、愛知県豊田市の「インセンティブ型デマンドレスポンス」の実証実験を紹介(写真4)。

同氏によると、実証実験が長期間になるにつれて、住民がインセンティブに魅力を感じなくなる傾向があるといい、継続的なデマンドレスポンスのためには、経済学や心理学の見地からも研究が必要だと説明した。
電力中央研究所 副研究参事の浅野浩志氏は、すでに電力自由化が行われ運営されている欧州の事例をもとに、今後、電力自由化を迎える日本の課題を解説した。電力小売自由化後の充分な電力供給力の確保については、米国のISO(独立系統運用者)/RTO(地域送電機関)などの仕組みをよく調査し、日本国内の環境にもっとも適したかたちの機関を創設する際には、どのパターンがもっとも日本の環境に適すかを考察する必要があると説明した。
このほか、中部電力(株) 技術開発本部 電力技術研究所 研究主幹の杉本重幸氏からは、「再生可能エネルギー発電予測の必要性と動向」について、湘南工科大学 電気電子工学科 教授の関岡昇三氏からは、「スマート社会のための雷保護システム」ついての講演があった。
電力自由化時代を控え、現実的課題とその解決策について考えるうえで、非常に有意義なシンポジウムであった。