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《第1回エネルギーシステムシンポジウムレポート》

スマートグリッド運営の現実的課題と解決策に迫る実践的な講演群
2014/09/01
(月)
SmartGridニューズレター編集部

2014 年7 月4 日、名古屋大学において、「第1 回エネルギーシステムシンポジウム」が開催された(主催:名古屋大学 エコトピア科学研究所、協賛:電気学会東海支部、IEEE Nagoya Section)。同シンポジウムは、「持続可能な社会のためのエネルギーシステム」をテーマとして開催され、再生可能エネルギーの発電予測やデマンドレスポンスの課題、スマート社会における雷からの保護システムなど、今後、スマートグリッドを実際に運営していくうえでの現実的な課題に対して、多角的な視点から講演が行われた。ここでは、同シンポジウムについてレポートする。

 名古屋大学エコトピア科学研究所 所長の田中信夫氏(写真1)は、エコトピア研究所は、持続可能な社会のための基礎技術として、エネルギー科学や環境システムなど幅広い分野の研究を進めていると説明。今後は、企業との産学連携をはじめ、生活と密着している電力・エネルギーの効率的・経済的なシステムの構築を目指したいと述べた。
また、名古屋大学教授の舟橋俊久氏(写真2)は、エコトピア科学研究所エネルギーシステム研究部門の活動方針を説明。「太陽光・風力発電出力の予測技術の開発」などを研究テーマとし、国際標準化組織への提案も進めていくと述べた。
最初の講演をした東京大学名誉教授の仁田旦三氏(写真3)は、再生可能エネルギーの利用に際しての課題を解説。「太陽光発電のメンテナンスや発電効率の経年劣化」「欧州のように定常風がない日本の気候での風力発電の出力変動」などについて説明した。 
 トヨタ自動車(株)技術統括部の是石純氏は、愛知県豊田市の「インセンティブ型デマンドレスポンス」の実証実験を紹介(写真4)。
同氏によると、実証実験が長期間になるにつれて、住民がインセンティブに魅力を感じなくなる傾向があるといい、継続的なデマンドレスポンスのためには、経済学や心理学の見地からも研究が必要だと説明した。
 電力中央研究所 副研究参事の浅野浩志氏は、すでに電力自由化が行われ運営されている欧州の事例をもとに、今後、電力自由化を迎える日本の課題を解説した。電力小売自由化後の充分な電力供給力の確保については、米国のISO(独立系統運用者)/RTO(地域送電機関)などの仕組みをよく調査し、日本国内の環境にもっとも適したかたちの機関を創設する際には、どのパターンがもっとも日本の環境に適すかを考察する必要があると説明した。
 このほか、中部電力(株) 技術開発本部 電力技術研究所 研究主幹の杉本重幸氏からは、「再生可能エネルギー発電予測の必要性と動向」について、湘南工科大学 電気電子工学科 教授の関岡昇三氏からは、「スマート社会のための雷保護システム」ついての講演があった。
 電力自由化時代を控え、現実的課題とその解決策について考えるうえで、非常に有意義なシンポジウムであった。
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