環境省の実証事業としてスタート
けいはんなデータセンター(写真2、データセンター内のパネル)は、環境省の「平成25年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」として、2013年7月15日〜2016年3月31日の3年間で6.9億円(計画額)をかけて実施される(表1)。
運営体制は、NTTデータ先端技術を筆頭に、大阪大学、高砂熱学工業、ATRを中心に、協賛企業として富士通、Schneider Electric(シュナイダーエレクトリック)が参画。例えば、富士通はファンレスサーバ注2、Schneider ElectricはDCIM注3ソフトを同センターに提供している。
同事業のテーマは「データセンターの抜本的低炭素化とオフィス等への廃熱利活用に関する共同技術開発」であるが、特に「排熱利活用」に重点を置き、これによってさらに抜本的にCO2排出を削減することを目的としている。そのために考えられたのが、データセンター内の3つのアイルの配置であった(後述)。
またもう1つの目的は、1社による囲い込み事業ではなく、業界連携での推進である。
現在のデータセンターは、囲い込み中心の垂直統合型のシステム構成が主であるが、データセンター自体は複数の機器等のコンビネーションによって構築されたシステムであるため、例えばサーバなどのICT機器だけ、あるいは空調部分だけを電力削減しても、全体の消費エネルギー(電力)の最適化は得られない。これらを解決するために、同センターでは、空調やサーバ、データセンター事業の専門家など、すべてのレイヤあるいはパーツごとの専門家を集めて、システム全体での効率化を目指している。
さらに、この実証事業で得られた知見は、例えば空調ならアシュレイ(ASHRAE)注4、制御インタフェースならITU注5などというように、各種標準化機関に申請して標準化し、それらを日本発の技術として確立し普及させることを目指している。
▼ 注1
ATR:Advanced Telecom-munications Research Institute International、株式会社国際電気通信基礎技術研究所
▼ 注2
ファンレスサーバ:ファンを搭載していないサーバ。
▼ 注3
DCIM:Data Center Infrastructure Management。データセンター全体の電源、冷却、セキュリティ、エネルギーの監視、運用、分析、最適化を行うこと。
▼ 注4
ASHRAE:American Society of Heating, Re-frigerating and Air-Conditioning Engineers、アメリカ暖房冷凍空調学会。アシュレイ。
▼ 注5
ITU:International Telecommunication Union、国際電気通信連合。