今回のプロジェクトの実施体制と今後の課題
以上、IoT時代に対応した次世代中小規模データセンターの実証事業の内容について、その全体像を見てきた。
同プロジェクトの体制については、図8のように、NTT東日本を技術開発の代表者とし、共同実施者として富士通、高砂熱学工業、EEC総研が参加し総勢20名弱の規模で開発が行われている。また、図9はこれまで解説してきた、今回のプロジェクトの技術開発の課題を整理したものである。
図8 今回のプロジェクトの実施体制
EEC総研:一般社団法人 Energy-Efficient Cloud Research Institute
出所 環境省・平成28年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業「データセンタの抜本的低炭素化」、2016年11月7日
図9 今回のプロジェクトの技術開発の課題
出所 環境省・平成28年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業「データセンタの抜本的低炭素化」、2016年11月7日
国際的に地球温暖化対策が喫緊の課題となる一方で、IoTの進展も加速している。そのような背景のなか、次世代中小規模データセンター(クラウド)の構築を目指す今回のプロジェクトが、世界初の技術によって夢のPUE=1.0に挑戦し、いつ実現できるのか、その展開に大きな期待が寄せられている。
写真1 3Mのフロリナート(冷媒)に充たされた32台のサーバ群
ハチの巣箱のような冷却箱に格納されている。同センターでは計100台のサーバが稼働している。
出所 SmartGridニューズレター編集部撮影
写真2 インテルの高機能CPU「Xeon」2個(中央)を搭載した1台のサーバ
出所 SmartGridニューズレター編集部撮影
写真3 中発熱密度用の冷媒滴下システムの外観と滴下部の構造
CPUなどの発熱部に冷媒を滴下して効率的に冷却する構造になっている。冷媒浸潤型に比べて必要な冷媒の総量が10分の1でよく、大幅な軽量化を可能としている。
出所 写真提供 大阪大学サイバーメディアセンター松岡茂登教授
写真4 データセンターのシステム構成
左側から、高発熱密度用の冷却箱、中発熱密度用の冷媒液下システムとその冷却制御盤、および右端に、ストレージ(HDD等)の低発熱密度用のラックを配置。
出所 写真提供 大阪大学サイバーメディアセンター松岡茂登教授
写真5 富士通のHDD(Seagate製)のラックを引き出したところ(1個2TB×60台=総計120TBの容量)
TB:Terabyte
出所 SmartGridニューズレター編集部撮影
写真6 熱交換用(冷却用)の配管とモーター(ポンプ)など
右から、高発熱、中発熱、低発熱密度用となっている。
出所 SmartGridニューズレター編集部撮影
写真7 建物屋上にある集中冷却システム(冷却塔、ポンプ、熱交換器、蓄熱槽などの汎用機器により構成)
出所 写真提供 高砂熱学工業株式会社