[特別レポート]

EVメーカーからエネルギー貯蔵(蓄電池)へ新展開を図るテスラ

― 2017年1月からギガファクトリーで高性能・低コストな「2170セル」の量産開始 ―
2017/03/06
(月)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

2003年7月、米国シリコンバレーに究極のエコカーである電気自動車(EV)を開発し、デビューしたテスラは、米国ネバダ州に総面積で東京ドーム約280個分の広大な敷地に「ギガファクトリー」を建設し、テスラとパナソニックの協業によるリチウムイオン電池セル(円筒形「2170セル」)の生産を、2017年1月から開始した。まず、一般家庭向けの蓄電池「パワーウォール2」、企業や電力会社向けの蓄電装置「パワーパック2」用の生産を開始し、さらに最新のEV「モデル3」向けの蓄電池用として、間もなく量産に入る。これによって同社は、EVメーカーから脱皮してエネルギー貯蔵ビジネスまでも包含し、ビジネスを大きく飛躍させることになる。
ここでは、ENERGY STORAGE SUMMIT JAPAN 2016(注1)(2016年11月8〜9日)におけるテスラ Kurt Kelty氏の講演および同社の資料をベースにレポートする。

エネルギービジネスへの取り組みを強化

 米国シリコンバレー(カリフォルニア州パロアルト)に2003年7月に設立されたテスラ(Tesla, Inc.、表1)は、当初は高級スポーツカータイプの電気自動車(EV)とEV関連商品を開発・製造・販売する自動車会社としてスタートした。社名は、交流モーター(交流誘導電動機1888年に特許を取得)を発明したニコラ・テスラ氏(Nikola Tesla、1856〜1943年)の名前に由来する。

表1 テスラ社のプロフィール(敬称略)

表1 テスラ社のプロフィール(敬称略)

出所 各種資料を元に編集部作成

 同社はその後ビジネス領域を拡大し、現在では、太陽光などの再生可能エネルギー(以下、再エネ)による発電システムと電気の貯蔵システム(蓄電池)、低価格のEVなどの販売を展開している。このようなビジネスを通して、世界におけるエネルギー利用形態について、持続可能なエネルギーへと移行していくことを会社のミッションとしている。

写真1 テスラ社長 Elon Musk(イーロン・マスク)氏

写真1 テスラ社長 Elon Musk(イーロン・マスク)氏

出所 https://www.tesla.com/gigafactory?redirect=no

 そのため、最近では製品の中核の1つにバッテリー(蓄電池)を据え、さらに太陽光発電事業を展開していた米国ソーラーシティ(SolarCity)社を2016年11月に買収し、家庭の屋根に取り付ける住宅太陽電池パネル(太陽光発電システム)の提供も開始している。

 このように、同社はエネルギービジネスへの取り組みを強化しており、2017年2月1日から社名も従来のテスラモーターズ(Tesla Motors, Inc.)からテスラ(Tesla, Inc.)へ変更した。

 ここでは、まず、テスラの最近のトピックであるギガファクトリーの最新の稼働状況から紹介しよう。

 


▼ 注1
ENERGY STORAGE SUMMIT JAPAN 2016(ESSJ 2016):「エナジー・ストレージ・サミット・ジャパン」国際会議・展示会、2016年11月8〜9日、東京・ベルサール渋谷ファーストにて開催。

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