IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2017年2月8日、同機構の「産業サイバーセキュリティセンター」注1による教育プログラムを7月から開始すると発表した。
近年、企業情報システムだけでなく、発電所や工場の設備などのいわゆる重要インフラが攻撃の標的とされるケースが増大している。例えば、米国における2003年の原子力発電所の制御システム停止、2014年のドイツにおける製鉄所溶鉱炉損傷、2015年のウクライナにおける数万世帯の停電などが知られている。このような背景のもと、IPAは2017年4月に「産業サイバーセキュリティセンター」を発足し、同センターの事業の1つである「人材育成プログラム」を、7月から1年間のコースで実施する。育成する人材のイメージとして、次の3点を挙げている。
- システムの安全性、信頼性を客観的に評価し、組織の幹部に対してサイバーセキュリティ戦略の立案や、経営/財務リスクなどを説明できる
- 最新のサイバー攻撃のトレンドに精通し、他業界や海外の対策状況などを把握し、対策立案に効果的に反映することができる
- 実装するサイバーセキュリティ対策の安全性、信頼性、および必要な技術やコストを精査し、効率的な対策を確実に導入できる
プログラムでは、模擬プラントを使った実習や、最新のサイバー攻撃情報の調査分析を通じて身につけた制御技術(OT注2)と情報技術(IT注3)両方のスキルを核に、「ビジネススキル」「マネージメント・リーダーシップ」「倫理・規範・法制理解」などのカリキュラムが用意されている。
受講者募集はすでに2月20日から開始され、受講料金は1年間で300万円(税込)。
注1
URL:http://www.ipa.go.jp/icscoe/index.html
注2
OT:Operational Technology
注3
IT:Information Technology