独立行政法人情報処理推進機構(東京都文京区本駒込、理事長:藤江 一正、以下IPA)は、2014年年間のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出※1および相談の状況をまとめて公表した。内容は次のとおりである。
1.コンピュータウイルス届出状況
2014年の届出件数は、2013年の6,596件から1,582件(24.0%)少ない5,014件であった。また、年間のウイルス検出数は2013年の19万5,550個から11万2,522個(57.5%)少ない8万3,028個であった。ウイルス別検出数では、自身の複製をメールの添付ファイルとして拡散する、いわゆるマスメール型ウイルスであるW32/Mydoom、W32/Netskyが多く検出された。
2.不正プログラム検出状況
2014年の不正プログラム検出数は、38万625個と、2013年の23万3,341個から、14万7,284個(63.1%)の増加となった。年間検出数の第1位は、インターネットバンキングのIDとパスワードを窃取するBancosで、検出数は6万5,942個。2013年は3万0,867個で、前年比較では倍増しているが、2014年5月以降は激減している。
3.コンピュータ不正アクセス届出状況
2014年の届出件数は、合計120件(前年比約28%減)で、そのうち被害があった件数は102件(前年比約35%減)と全体の約85%を占めた。また、実際に被害があった届出(102件)のうち、原因の内訳はID・パスワード管理の不備が17件、古いバージョン使用・パッチ未導入が11件、設定不備が10件などであった。
4.相談状況
2014年のウイルス・不正アクセス関連の相談件数は1万5,598件であった。そのうち「ワンクリック請求」に関する相談が3,301件、そのうちスマートフォンにおける「ワンクリック請求」に限ると790件の相談があり、前年比でほぼ倍増している。相談のうち「インターネットバンキング」158件(2013年:147件)と「ランサムウェア」35件(2013年:22件)が増加傾向にあり、これらに関する相談が今後も増加し続けることが懸念される。
▼※1
コンピュータウイルスの届出は、通商産業省(現・経済産業省)のコンピュータウイルス対策基準に基づき1990年4月にスタートした制度である。その後、不正アクセスの届出が1996年8月に同省のコンピュータ不正アクセス対策基準によりスタートした。両制度の届出機関は、いずれもIPAが指定されいる。
コンピュータウイルス対策基準
コンピュータ不正アクセス対策基準
■リンク
IPA