[技術動向]

ECHONET Liteを中心にしたスマートハウスで注目される通信方式の比較

2014/10/01
(水)

近年、IoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)といった、「モノと情報通信技術の融合」による新たな価値の創造に向けた取り組みが進んでいる。また、本稿が対象とするスマートハウスの分野においても、モノと情報通信技術の融合が進んでいる。スマートハウスの定義はさまざまだが、エネルギー消費の最適化や快適性の向上を主な目的とし、高断熱性素材や高性能換気といったパッシブ技術注1や、太陽光発電/蓄電池/家電をHEMSで制御するアクティブ技術注2を駆使した住宅や機器の開発が注目を浴びている。

ここでは、スマートハウスを取り巻く技術のなかでも通信の分野に着目し、スマートハウスで重要となるプロトコルについて解説、考察していく。

スマートハウスが生み出す新市場

スマートハウスと一口に言っても、その範囲は非常に広範囲である。その中でも通信が関わるものを図1にまとめた。このなかには、概念としては20年以上前から存在するものも含まれているが、近年、再度注目を集め、新市場として期待されている。

図1 スマートハウスが生み出す新市場

図1 スマートハウスが生み出す新市場

〔出所 株式会社ユビキタス〕

その原動力のひとつは、東日本大震災をきっかけに加速したエネルギー分野の見直しにある。複数の世帯の電力契約をマンション単位などでまとめて行うことで、居住者の電気料金を下げる高圧一括受電注3や、RTP(Real Time Pricing)と呼ばれる電力需給バランスに応じてリアルタイムに電気料金が変動する料金プラン、電力供給が追いつかなくなりそうなときにエアコンの停止や電気自動車の充電停止を行うデマンドレスポンスといった分野は、2016年の電力小売市場自由化に向けて各社の取り組みが活発化している。

これにともない、通信機能を備えた遠隔検針が可能なスマートメーター、遠隔制御可能なスマート家電、エネルギーを集中管理できるHEMS/MEMS、エネルギー消費量から遠隔地に住む家族の生存を確認できる見守りシステム、簡易なホームセキュリティシステムといったさまざまな新市場の創造・拡大が期待されている。


▼ 注1
パッシブ技術:電気・電子機器を使用せずに、材質や機構を工夫することにより、熱・湿度・空気の流れなどを制御する技術。

▼ 注2
アクティブ技術:電気・電子機器を使用して、創エネ・蓄エネ・省エネを行う技術。

▼ 注3
高圧一括受電:集合住宅などで、各戸が個別に電力会社と契約するのではなく、集合住宅でまとめて高圧の電力を契約し、集合住宅の敷地内で低圧への変圧と各戸への配電を行うシステムのこと。各戸の契約をまとめることにより電気料金を下げるメリットがある。

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