ECHONET Lite
前節で挙げた各種プロトコルの中で、日本では、ECHONET Liteという規格が、経済産業省の設置したスマートハウス標準化検討会にて「HEMSにおける公知な標準インタフェースとして推奨」されたことにより注目されている注4。
ECHONET Liteの認証を取得した機器は2014年8月1日時点で203件にのぼる注5。特に、重点8機器と呼ばれる①スマートメーター、②太陽光発電、③蓄電池、④燃料電池、⑤EV/PHV、⑥エアコン、⑦照明機器、⑧給湯器に対しては、ECHONET Liteを搭載した機器やシステムに補助金を出すなどの普及活動が進められている。
ここでは、このECHONET Liteに関して、技術的な概要とその課題について述べていく。
〔1〕ECHONET Liteとは
ECHONET Liteとは、一言でいえば「主にUDP/IP注6で動作するリモートコントロールプロトコル」である。90種類以上もの機器がクラスとして定義され、コントローラからのSet(設定)やGet(取得)といった要求に従い、各機器を制御することが可能である。これにより、ホームコントロール、デマンドレスポンスのための負荷制御、電力の見える化などを実現することができる。
ECHONET Liteの規格書は、規格を策定しているエコーネットコンソーシアムのホームページ上で公開されており、コンソーシアムの非会員でも規格書をダウンロードすることが可能となっている注7。
〔2〕ECHONET Liteのプロトコル構成
ECHONET Liteは、図2のようなプロトコル構成となっている。ECHONET Liteのアーキテクチャとしては、オブジェクト指向注8のような作りとなっており、設定項目(プロパティ)や動作(サービス)を機器の種類ごとにクラスとして標準化している。
図2 ECHONET Liteのプロトコル構成
〔出所 株式会社ユビキタス〕
各機器は、クラスで定義されたプロパティやサービスのうち、必要なものをサポートしてEOJ(ECHONET Object)として実装する。このEOJには、ノードプロファイルオブジェクトと機器オブジェクトと呼ばれる2種類のオブジェクトがある。
ノードプロファイルオブジェクトは、機器がサポートする機器オブジェクトリストや識別番号といった属性情報が主に保持されている。機器オブジェクトは、エアコンやスマートメーターといった機器固有のプロパティやサービスを表現するためのオブジェクトで、エアコンで言えばON/OFF状態や設定温度といった情報が保持されている。
実際の制御は、コントローラからデバイスに対して、
- 制御対象のEOJ
- サービスの識別子
(ESV : ECHONET Lite Service) - プロパティの識別子
(EPC : ECHONET Property Code) - プロパティの値
(EDT : ECHONET Property Value Data)
などを指定したパケットを送信し、デバイスがそれに応答することで実現される(図3、図4)。
図3 ECHONET Liteによる機器の制御
〔出所 株式会社ユビキタス〕
図4 ECHONET Liteのパケット例
〔出所 ECHONET Liteの規格書を元に株式会社ユビキタス作成〕
▼ 注4
第2回スマートハウス標準化検討会 事務局資料を参照、http://www.meti.go.jp/press/2011/12/20111216003/20111216003-4.pdf
▼ 注5
エコーネットコンソーシアムサイトを参照、http://www.echonet.gr.jp/kikaku_ninsyo/list_lite/equip_srch
▼ 注6
UDP:インターネット上でデータ通信を行う場合のコネクションレス型の通信プロトコル。音声や映像などリアルタイム性の強いアプリケーション向けの通信を行う場合に使用される。
▼ 注7
http://www.echonet.gr.jp/spec/index.htm
▼ 注8
オブジェクト指向:属性と操作をまとめたオブジェクトとして、各オブジェクト間の関係を記載することにより事象をモデリングする手法のこと。