写真1 「柏の葉 IoTハッカソン」表彰式および提案発表会の会場(柏市:31VENTURES KOIL 6階KOILスタジオ)。120名が参加。
出所 編集部撮影
5基の基地局で大規模なLoRaWAN環境を構築へ
IoT時代を迎え、大量のIoTデバイスを接続するために、低価格・省電力・長距離通信を可能にするLPWA(Low Power Wide Area)のサービスが登場し、まさにIoT向けに特化した通信方式として全世界でその普及が始まっている。日本でも、920MHz帯を使用する非セルラー方式のSIGFOX(日本ではKCCSが提供)やLoRaWANなどとともに、2018年2月からはKDDIによりLTEの周波数帯を使用するセルラー方式のLTE-M(3GPP標準)というLPWAサービスが開始され、注目されている。
各種のLPWAのなかで、特にLoRaWANはグローバルでオープンなLPWAであるところから多くのベンダがサポートしており、ユーザーにとっても使いやすいLPWAとなっている。しかし、LoRaWANは、世界中で導入が進んでいるものの、日本ではまだ限定的な利用に留まっており、今後の普及促進によって、国内でも幅広く使えるIoTの無線通信規格となることが期待されている。
そこで、千葉県柏市を中心に活動する、柏の葉IoTハッカソン実行委員会は、柏の葉キャンパスを中心とした「東京・本郷〜つくばのTX沿線(つくばエクスプレス沿線)エリア」一帯にLoRaWAN環境を構築し、日本では過去最大規模となるIoTハッカソンを、2017年11月15日〜2018年1月22日の2カ月にわたって開催してきた注2。
具体的には、図1に示すようなエリアで、①千葉県の柏市役所本庁舎、②茨城県の筑波大学高細精イノベーション棟、③柏の葉キャンパスゲートスクエア施設内などに各1基ずつ、④東京都文京区の東京大学本郷キャンパス(工学部2号館)に2基と、合計4カ所に5基のLoRaWAN基地局(センスウェイ社が提供)が設置されたIoT実証環境で行われた。
図1 「柏の葉 IoTハッカソン」が行われたLoRaWANサービスエリア(つくばエクスプレス沿線)
このハッカソンでは、柏の葉キャンパスのまちづくりに向けて、表1に示す応募テーマとして8つの課題(インフラ、自然環境、暮らしほか)が提示された。これらの課題をIoTによって解決し、実際のサービス化(実用化の可能性)を視野に入れた多数の提案が行われてきた。今回その評価が行われ、入賞者に対して、総額100万円の賞金が提供された。
表1 ハッカソンの応募テーマ(下記から1つ選択)
▼ 注1
ハッカソン(Hackathon):ソフト開発関連用語のハック(Hack)とマラソン(Marathon)の合成語。もともとはソフト開発においてアイデアや成果を競い合う開発イベントのこと。「柏の葉IoTハッカソン」は、オープンなIoTの無線規格であるLoRaWANを使用したIoTのアプリケーション開発および実証実験。