再エネ市場拡大への取り組み
再エネの導入を加速するため、ソニーは、主に次のような取り組みを推進していく。
- すでに事業所の電力を100%再エネ化した欧州に加え、北米や中国での再エネ導入を拡大する。
- タイや日本などの製造事業所での太陽光パネルの設置を推進する。
- 複数の半導体の製造事業所をもち、ソニーグループで最も電力消費が多い日本において、「自己託送制度」を活用した事業拠点間での電力融通の仕組みを構築する。さらに、太陽光パネルなどの再エネ自家発電設備によって作られた電力を、電力会社が保有する電力網を介してソニーの事業所へ供給することを検討する。
- 日本において、経済的かつ安定的に充分な量の再エネが供給されるよう、RE100加盟の他企業とともに再エネ市場や政府への働きかけを強化する。
〔1〕直接購入、証書制度の活用、太陽光発電設備の設置などによる再エネの導入
ソニーは、日本では、グリーンエネルギー証書注6を活用するとともに、再エネ由来の電力を直接購入している。
また、欧州においては、電力の直接購入と証書制度の活用によって、使用する電力を100%再エネ由来のものに転換している。さらに北米では、証書と自社の太陽光発電によって、ソニーの事業所が使用する電力について再エネの占める割合を増大している。
〔2〕自社設備による再エネで電力ニーズをカバー
同社はまた、自社で設置した太陽光パネルなどの発電設備を使用して、再エネの使用量を増やし続けている。
例えば、英国のソニーUKテクノロジーセンターでは、自社に設置した太陽光パネルによる再エネで電力使用量の8%をまかなっており、この太陽光発電と証書の購入によって再エネ100%を達成している。
また、米国カリフォルニア州にあるソニー・ピクチャーズ エンタテインメント本社でも、同社に設置された太陽光パネルで発電された電力で使用電力の一部をまかなっている。
さらに、ソニーテクノロジー(タイ)社のチョンブリテクノロジーセンターとソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社の熊本テクノロジーセンターでは、2019年に新たな太陽光発電設備が稼働する予定だ。
ソニーの革新的な取り組み「Road to Zero」
これまで見てきたように、ソニーのグローバルな環境計画「Road to Zero」は、自らの事業活動と製品ライフサイクル全体を通じて、2050年までに環境に与える負荷をゼロにすることを目指す。
表2に示すように、環境に関する4つの視点と製品ライフサイクルの6つのステージ(図2)について、それぞれに具体的なゴールを設定し、最終目標である「環境負荷ゼロ」の達成に向けて進んでいる。
表2 ソニーの環境に関する4つの視点と製品ライフサイクルの6つのステージ
出所 https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/eco/RoadToZero/gm.htmlをもとに編集部作成
図2 ソニーの製品およびサービスのライフサイクル(6つのステージ)
出所 https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/eco/RoadToZero/gm.html
ソニーの代表執行役 社長 兼 CEO 吉田憲一郎氏は、RE100への加盟により、同社のみならず産業界全体において再エネの活用が進むことに期待を示すとともに、「ソニーでは、車載CMOSイメージセンサー事業を通じた自動運転時代における安全性の向上、および環境負荷の低減への貢献を、当社が長期視点で提供する社会価値の1つと位置付けています。同時に、こうした半導体生産などの事業活動が地球環境に与える影響にも十分配慮し、それを最小化するための活動にも積極的に取り組んでいます」とコメントしている注7。
▼ 注6
自然エネルギーにより発電された電気の環境付加価値を、証書発行事業者が第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)の認証を得て、「グリーン電力証書」という形で取引する仕組み。
▼ 注7
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201809/18-0910/index.html