大阪ガスは、同社が保有する実験集合住宅「NEXT21」(所在地:大阪市天王寺区)において、2019年3月からブロックチェーン技術(分散型台帳技術)を使用した、電力の個人間取引に関する居住者実証試験を行うと発表した(図)。
図 「NEXT21」における電力個人間取引の居住者実証試験のイメージ
出所 http://www.osakagas.co.jp/company/press/pr_2019/1278594_40360.html
脱炭素化社会の実現を目指して、今後、住宅には燃料電池や太陽光発電、蓄電池設備などの分散型エネルギーシステムの普及が見込まれている。
現在、分散型エネルギーシステムから生み出された余剰電力は、電力小売事業者へ販売することとなっているが、FIT制度の終了とともに、再エネ発電を中心とする分散型エネルギーシステムを保有した需要家は、発電した電力を自由に売買できる可能性がある。このような売買の管理に、ブロックチェーン技術が有効であると期待されている。
そこで、同社では、個人間の電力取引におけるブロックチェーン技術の有効性を確認するため、NEXT21居住者の実生活環境を使って実証試験を開始する。個人間の電力取引が実現すれば、環境性能の高い電力(例:再エネ由来の電力)を選択したい購入者と販売者とを直接結びつけることが可能となる。
また、同実証試験では、電力系統の停電時を想定し、VSG機能注1を活用した小型の分散型発電システムを利用することで、電力の供給を継続するエリア(マイクログリッド)を構築する。さらに停電時においても平常時と同様に、需要家間の融通電力の記録を、ブロックチェーン技術を用いて管理可能かどうかについても検証する予定だ。
注1
VSG:Virtual Synchronous Generator。同実証試験において、マイクログリッド内の複数の分散型発電システムの同時運転を実現する技術。