大阪ガスは2019年3月15日、自社保有の実験集合住宅「NEXT21」で、ブロックチェーンを利用した電力個人間取引の実証実験を実施すると発表した。燃料電池や太陽光発電システム、定置型蓄電池といった、発電、蓄電設備を各世帯に設置し、世帯で発電した電力を直接、実験参加者に販売する個人間取引ができる環境を作り、取引の履歴をブロックチェーンに記録していく。この実証実験で大阪ガスは、個人間の電力取引の管理にブロックチェーンがどれほど役立つのかを確認する。
図 世帯間で余剰電力をやり取りできる仕組みを作り、取引の履歴をブロックチェーンに記録する
出所 大阪ガス
また、今回の実証実験では実験環境に複数の分散型発電システムを同時運転可能にするVSG(Virtual Synchronous Generator)機能を取り入れて、マイクログリッドを構築する。従来のマイクログリッドでは、分散した複数の発電システムの中から、司令塔となる発電システム1台を設定する必要があり、その1台が停止すると、ほかの発電システムも働かず、停電に陥る可能性がある。VSG機能を取り入れることで、常時複数の発電システムが動作するようになり、完全に停電してしまう可能性を低く抑えることができる。そして大阪ガスは、停電時も個人間の電力融通の履歴をブロックチェーンに残し、管理できるか確かめるともしている。
大阪ガスは、個人間の電力取引が可能になれば、地球環境にあまり悪影響を及ぼさない電力を利用したい個人と、余剰電力を持て余している個人を直接結びつけることが可能になり、顧客の要望に応えられるとしている。
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大阪ガス