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【関西 スマートエネルギーWeek 2019 レポート】再エネの主力電源化に向けたエネルギービジネスの展示目立つ

― 世界最大の720MWhリチウムイオン蓄電池システムも登場 ―
2019/10/08
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

太陽誘電:PVソリューションシステム=異常検出機能に特化したsolmiv-Lを開発=

 現在、再エネの主役として普及している太陽光発電(PV)システムは、太陽光パネルの一部が、故障注1や不具合あるいは日影になると、太陽電池ストリング注2内のすべての太陽電池パネルの発電量が低下してしまうことが課題となっている。しかし、現状では、ほとんどの監視システムでは、ストリングごとのモニタリングには対応していない。このため、故障や不具合などが発生していても、定期点検までは発見しにくいことが、現在のシステムの課題となっている。

 そこで、太陽誘電では、写真3右に示すように、従来のストリング監視モデル(solmiv:ハイエンドモデル)に加え、異常検出機能に特化したsolmiv-L(ソルミブエル。すなわちSSU:ストリングセンサーユニット)を開発し、新たにラインナップに加えた。

写真3 太陽誘電のsolmiv親機(左)1台で、solmiv子機(右)350台を監視可能

写真3 太陽誘電のsolmiv親機(左)1台で、solmiv子機(右)350台を監視可能

出所 編集部撮影

 現場では、solmiv親機(MU:マネージングユニット)1台で太陽電池ストリングごとに設置される子機「solmiv-L」350台を監視することができる。またこれらは、短距離無線通信規格(IEEE 802.15.1、2.4GHz帯)によるマルチホップ通信のため、既設の設備でも後付けが容易となっている。

日本気象協会:再エネ時代必須の電力需要予測等を展示

 日本気象協会(JWA:Japan Weather Association、写真4)は、気象・環境・防災に関する情報コンサルタント企業として長年培った知識やノウハウを生かし、発電事業者や小売電気事業者などを支えるサービスを幅広く提供している。同協会では、エネルギー需要予測や電力取引価格予測をはじめ、太陽光や風力発電出力予測などのさまざまなサービスや取り組みを展示していた。

写真4 いろいろな予測方法を展示した日本気象協会(JWA)のブース

写真4 いろいろな予測方法を展示した日本気象協会(JWA)のブース

出所 編集部撮影

 特に再エネ時代を迎えて、気候によって変動する太陽光や風力などの気象情報の重要性がますます増大しており、JWAもこれに対応した予測情報を提供している。

 例えば、図2に示す電力の需要予測の場合は、気象予報士からの情報をはじめ、気象モデル、気象観測、地域別電力需要、業種別電力需要、再エネの情報など多くのビッグデータを収集し、JWAが開発したAIエンジン(データサイエンス)で解析し、図2の右側に示す電力需要予測結果を示す仕組みである。

図2 日本気象協会(JWA)による電力の需要予測の仕組み

図2 日本気象協会(JWA)による電力の需要予測の仕組み

出所 編集部撮影

ABB日本ベーレー:5GWのVPPの最適運用を支えるエネルギー需給管理ソリューション

 ABBは、エネルギーリソースの最適化計画や、制御指令を行うエネルギー管理ソフトウェア「ABB Ability OPTIMAX」を提供し、VPP(バーチャルパワープラント)や、工場やビルなどのSite EMS(現場のエネルギー管理システム)も含む、幅広い分野でのエネルギー需給管理が可能となっている(写真5、図3)。

写真5 ドイツで5GWのVPPの最適運用を支える各種の装置とソリューション

写真5 ドイツで5GWのVPPの最適運用を支える各種の装置とソリューション

出所 編集部撮影

 「ABB Ability OPTIMAX」は拡張性、信頼性、柔軟性を備えた最適化エンジンで、太陽光発電をはじめ各種の発電設備、蓄電池、EVやEV充電器、工場の負荷などのアセット(資源)を連携させ、前日や当日、あるいはリアルタイムに利用計画を更新することが可能となっている。

 「ABB Ability OPTIMAX」は、欧州で多くの納入実績を誇り、ドイツではすでに6,000台以上のアセットを連携させ、5GWを超えるVPP事業者の最適な運用を支えている。

 日本では、2016〜2020年度の5カ年計画でVPP構築実証事業が展開されているところからVPPへの関心が高まっているが、ABBグループのABB日本ベーレー(所在地:静岡県伊豆の国市)は、すでにVPP向けソリューション「ABB Ability Virtual Power Pools」(PlantではなくPoolsであることに注意)を2018年3月に発表し、日本市場向けに展開している。また、ABB日本ベーレーの工場でも同ソフトウェアを適用したVPPが、2019年7月から稼働している。


▼ 注1
例えば、太陽電池パネルは1%/年の確率で故障するといわれており、1%/年の故障率は、約3%/年の電力損失につながるといわれている(太陽誘電資料)。

▼ 注2
太陽電池ストリング:太陽電池の構成単位で、複数の太陽電池パネルを直列で配線し、まとまった電力量を得られるようにしたもの。太陽電池ストリングをさらにまとめて、十分な出力を得られるようにし、かつ屋上などに設置する台などに据えられた単位は太陽電池アレイと呼ばれる。

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