日本の再生可能エネルギー(以下、再エネ)による電気は、FIT(固定価格買取制度)のもとに急速に普及してきたが、2019年11月から住宅用太陽光発電のFIT契約が終了し始め、卒FITの電気が順次市場に登場してくる。同制度の下では、一般電気事業者は電力供給が需要よりも多くなっても規定の価格(FIT価格)で再エネを買い取る必要があるため、利用者の国民負担が大きくなるなどの課題があった。
FIT制度は、時限的な特別措置法(FIT法)のもとに創設されたもので、2020年度末までに抜本的な見直しが規定されている。
そこで、政府の再エネ主力電源化制度改革小委員会(第1回:2019年9月19日)において、再エネの主力電源化に向けた更なる環境整備についての検討が開始された。ここでは、欧州などの例を参考にしながら、FIT制度から新しくFIP(Feed in Premium)制度へ移行することなどの具体策も検討されている。その前提には、再エネ市場に投資意欲がわくような投資インセンティブが重視されている。
- FIT制度(図左)では、再エネで発電した電気はFIT価格(固定価格)で必ず買い取られるため、発電収入が予見可能となり、これによって投資インセンティブが確保されている。
- FIP制度(図右)では、①発電した電気を卸市場や相対取引で自由に売電し、②そこに「あらかじめ決めたFIP価格と参照価格(市場価格の平均等で決定)の差(=プレミアム)×売電量」の収入を上乗せする仕組みとなる。
図 FIT制度とFIP制度の違い
このように、市場での売電収入を超えるプレミアムを受けることを通じて、投資インセンティブが確保される。