経済産業省は、第6回合同 電力レジリエンスワーキンググループを開催し、関東地方を中心に電力系統に甚大な被害を与えた、(1)台風15号〔最大停電件数:約93万戸、電柱の破損・倒壊:約2,000本〕、(2)台風19号〔最大停電件数:約52万戸、電柱の破損・倒壊:135本(10/13時点)〕の被害状況を収集し、今後の改善点を抽出するなどの原因の究明を開始した(2019年10月17日)注。
関東を直撃する台風としては、これまでで最強クラスとなった台風15号(2019年9月9日早朝)は、東京湾から千葉県内を縦断し、19地点で観測史上1位の最大瞬間風速を記録した。猛烈な風や雨をもたらし、関東広域で最大約93万軒の停電が発生(9月9日7時50分)するなど、甚大な被害を与えた。
台風15号による停電被害は、特に千葉県では、倒木による山道の寸断などで、各回線の事故点が当初の予想以上に多数であったため、停電復旧の見込み情報が二転三転し、多くの被害住民から批判の声が上がった。その結果、地域全体の復旧見通しが公表されるまでに4日半以上を要した。
この背景には、図に示すように、現在の電力会社のシステムの構成上、高圧の配電線(6,600V)より下の低圧線(100〜200V)や引込線の異常による停電が把握できない。このため、これが復旧見通しの公表を遅らせた要因の1つともなった。この反省から、実際には支援人員を5倍(1,000班体制)に増やし、カメラ搭載のドローン(約40機)の活用などの対応が強化され、台風19号における復旧見通し情報の公表では、(被害の規模・形態にもよるが)すべて1日以内と短期間に行われた。
図 現在の電力システムの課題:低圧線や引込線の異常による停電が把握できない
現在、千葉県内におけるスマートメーターの導入率は75%だが、スマートメーターの導入率が100%になれば、スマートメーターの情報から、より広範囲な被害状況をリアルタイムに把握することが可能となると期待されている。政府内には、すでに「令和元年台風第15号に係る検証チーム」が発足し、2019年内に最終報告が取りまとめられる予定だ。
注 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/resilience_wg/index.html
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/resilience_wg/pdf/006_03_00.pdf