[新動向]

JPEAが「PV OUTLOOK 2050 太陽光発電の主力電源化への道筋」を公開!

― 気候変動、新型コロナ・パンデミックは新エネルギー社会への転換点 ―
2020/06/05
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

太陽光発電協会(JPEA)は、2020年5月18日、「JPEA PV OUTLOOK 2050 太陽光発電の主力電源化への道筋」を公開した(注1)。これは、2017年6月の「JPEA PV OUTLOOK 2050 太陽光発電2050年の黎明」に続く3年ぶりの改訂版で、パリ協定の長期目標(2050年)を達成するために、2050年には日本の電力需要の約30%を太陽光発電で賄い、太陽光発電の主力電源化に向けたビジョンを示している。
昨今の世界的な気候変動と現在の新型コロナ・パンデミックが、新しいエネルギー社会への転換点であるとし、FITから自立した再エネの主力電源としての確立や、太陽光発電導入に伴う費用対便益について分析・試算をしている。ここでは、今回公開されたビジョンの概要を紹介する。

感染症(COVID-19)の危機を乗越え、あたらしい社会へ

図1 新ビジョン:2050年には日本の電力需要の30%を太陽光発電で賄う

図1 新ビジョン:2050年には日本の電力需要の30%を太陽光発電で賄う

出所 一般社団法人 太陽光発電協会、JPEAビジョン・PV OUTLOOK 2050 感染症の危機を乗越え、あたらしい社会へ「太陽光発電の主力電源化への道筋」、2020年5月18日

 「JPEA PV OUTLOOK 2050 太陽光発電の主力電源化への道筋」の冒頭では、次のように述べている。

  1. 2017年以降、世界と日本を取り巻く市場環境が大きく変化し、気候変動を事業リスクとしてとらえる動きが世界に広がり、太陽光発電へのエネルギーシフトは、これまでのJPEAビジョンで想定した以上のペースで進んでいる。
  2. 新ビジョンでは、市場環境の変化を受け、2050年には、日本の電力需要の30%を太陽光発電で賄う(図1)とし、COVID-19と気候変動問題は、人類が持続的に生存していくための国際社会に向けて、協力して取り組むべき優先課題である。

環境課題と新たなビジネス変革

 国連が発行したIPCC『1.5℃特別報告書』によれば、最大、2030年代には1.5℃を超えることが想定されるため、「1.5℃に抑制するには、2030年までにCO2排出量を45%削減、2050年頃には正味ゼロが必要」という課題が示されている。

 このような環境課題とともに、国内では、SDGs/RE100、ESG投資、Society 5.0、Utility 3.0、EVシフト(セクターカップリング注2)などの社会変化が起こってきている。

 これらの社会変化によって、太陽光発電のビジネスモデルは変化し、ビジネスに影響を及ぼすとしている(表1)。 

表1 環境課題と新たなビジネス改革:社会変化と太陽光発電のビジネスモデル変革

表1 環境課題と新たなビジネス改革:社会変化と太陽光発電のビジネスモデル変革

出所 一般社団法人 太陽光発電協会、JPEAビジョン・PV OUTLOOK 2050 感染症の危機を乗越え、あたらしい社会へ「太陽光発電の主力電源化への道筋」、2020年5月18日

 新ビジョンでは、社会変化が加速される前に、今から取り組む準備が必要であるとし、感染症を乗り越え、新たに時代が変わる時こそ変化に挑戦すべき、と述べている。


▼ 注1
http://www.jpea.gr.jp/pdf/pvoutlook2050.pdf

▼ 注2
セクターカップリング:Sector Coupling。電力部門や輸送部門などの各部門(セクター)を連携(カップリング)させて、再エネによる電力を最大限活用し、最適化すること。

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