「欧州グリーンディール」とは、2019年12月11日に、ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長率いる新欧州委員会が打ち出した、2019〜2024年の5年間にわたって取り組む6つの優先課題のうちの1つ。
2050年までに、EUが世界で初めて「気候中立(CO2排出実質ゼロ)な大陸(Climate-neutral Continent)」になるという目標達成に向けた、EU環境政策の全体像を示したものである(図参照)。
図 欧州グリーンディール(EGD)の全体像
出所 欧州連合日本政府代表部「EU情勢概要」、2020年2月
(原典 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:52019DC0640&from=EN )、『インプレスSmartGridニューズレター』2020年6月号「特集1」より再掲載
この目標を実現するため、2030年の温室効果ガス削減目標を従来の1990年比40%から50%へ、さらに55%へと引き上げることが示された。
同政策は、「すべての政策分野において気候と環境に関する課題をチャンスに変える」という欧州委員会の決意のもとに打ち出され、2030年の温室効果ガスの削減目標の引き上げや必要な法制度、対象とする産業、投資額や手段をはじめ、具体的な行動が明示されている。
気候中立な経済への移行には大規模な投資が必要となるが、2020年1月14日には、「欧州グリーンディール投資計画(The European Green Deal Investment Plan)」注1を発表し、今後10年間のうちに、官民で少なくとも1兆ユーロ(約120兆円)注2の投資計画を発表した。
さらに、欧州グリーンディール実現のための具体策として、2020年3月4日、欧州気候法(European Climaite Law)案を発表した。同法案には、各加盟国の目標達成に向けた進捗を管理し、施策を調整するための措置が盛り込まれている。また同日には、将来策定する「欧州気候協約(European Climate Pact)」への意見公募も、同年5月27日を期限として開始された。
最新動向として、2020年10月7日、欧州議会は、2030年の温室効果ガス排出量を1990年比60%削減する目標を含む、「欧州気候法」に対する修正案を、賛成多数で可決した。
▼ 注1
別称は、持続可能な欧州投資計画(The Sustainable Europe Investment Plan)。
▼ 注2
1ユーロ、120円換算。
出所 以下を参考に作成。
https://eumag.jp/behind/d0220/
https://eeas.europa.eu/delegations/japan/75542/node/75542_ja
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/03/5cafc4dcfaca8987.html
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/10/b5d9dc526296a80a.html
『インプレスSmartGridニューズレター2020年6月号』特集1