KDDIが基地局への給電をCO2排出ゼロで実証実験
― デンヨーとトヨタ自動車が共同開発した燃料電池電源車を活用 ―2021年9月6日 0:00
KDDIは、2030年を見据えたKDDIのSDGs「KDDI Sustainable Action〜私たちの『つなぐチカラ』は、未来のためにある〜」(注1)を策定している。2050年までのCO2排出量実質ゼロの実現に向けた取り組みの一環として、デンヨー(本社:東京都中央区)(注2)とトヨタ自動車(本社:愛知県豊田市)(注3)が共同開発した水素で発電する燃料電池電源車(以下、FC電源車。FC:Fuel Cell)を活用し、災害などの長期停電時にCO2排出ゼロで基地局を運用する実証実験を行い、基地局への給電手段としてFC電源車が有効であることを、2021年8月17日に発表した。
CO2排出ゼロで基地局を運用する実証実験
KDDIは移動電源車54台を保有し、災害などの長期停電時に基地局へ電力を供給できるよう備えているが、従来の移動電源車は、軽油が燃料のディーゼルエンジンを用いており、走行中や発電中にCO2を排出する。また、操作にはスイッチやアナログメーターに関する専門的な知識を要するため、操作できる人が限定されている。
このため、今回の実証実験でFC電源車を移動電源車として活用し、走行中や発電中のCO2排出ゼロと操作性向上を目指した。
実証実験は、愛知県名古屋市にある基地局の年次計画停電期間である2021年6月12日に、FC電源車からの給電を実施し、FC電源車の発電性能と操作性、静音性を検証した。実験結果の概要は表1の通り。
表1 実証実験結果の概要
※本実証実験で消費した電力量を従来の移動電源車で発電した際に発生するCO2排出量。本実証実験の電力消費量 [kWh] ×同出力容量のディーゼルエンジン発電機燃料消費量 [L/kWh] ×軽油の二酸化炭素排出量 [kg-CO2/L] にて算出(Lはリットル)。
出所 KDDIの報道資料を参考に作成
MIRAI(ミライ)に搭載のFCシステムを活用したFC電源車
今回使用されたFC電源車は、トヨタの小型トラック「ダイナ」をベースに、動力源には燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)MIRAI(ミライ)に搭載されているFCシステムを活用し、デンヨーが開発したFC専用給電機器を搭載している。水素は、長距離移動や長時間発電を可能とするよう、約65kg(水素タンク27本)を搭載している(表2)。
FC電源車は、動力源として燃料電池を用いているため、走行中あるいは発電中のCO2排出量がゼロになる。さらに、発電時に生成されるのは水のみであり、生成された水はシャワーなどへの活用も可能となる。
▼ 注1
https://www.kddi.com/corporate/csr/sdgs/