『DXレポート2.1』ではデジタル企業への変革を加速
〔1〕ユーザー企業とベンダー企業のジレンマ
『DXレポート2』公表後、2021年8月に『DXレポート2.1』(以下、DX2.1)が公表された注4。DX2.1では、『DXレポート2』で明らかにできなかった「デジタル変革後の企業の姿」を示すとともに、「デジタル企業への変革を加速させる政策の方向性」を示した。
DX2.1によると、企業変革を阻むユーザー企業とベンダー企業のもつ3つのジレンマ(表1)の解決が重要で、これを打破するためには、企業経営者のビジョンとコミットメント(約束)が必要不可欠である、と指摘している。
表1 デジタル産業を目指す企業の3つのジレンマ
〔2〕デジタル産業の構造と4つの企業類型
図2は、DX2.1で示された、既存産業の業界構造とデジタル産業の業界構造を対比したものである。これを見ると、既存産業の業界構造は、特定の大企業を頂点とした多重下請け型(ピラミッド型)の構造をとり(図2下部)、一方のデジタル産業の業界構造では、固定的でないネットワーク型の構造となる(図2上部)。
DX2.1では、デジタル産業が創出する価値は、市場との対話の中で迅速に変化する必要性があり、また1社で対応できない多様な価値を結びつける必要性から、固定的でないネットワーク型の構造となると述べている。
さらにDX2.1では、図2に示したデジタル産業を構成する企業を、表2のように4つに類型化した。これをもとに企業が自社の成熟度を評価できる「デジタル産業指標」などを策定し、DX成功パターンの事例を策定していく。
今後、企業の構造変革が実現し、真のDX/GX時代が到来することを期待したい。
▼ 注4
「デジタル産業の創出に向けた研究会」の『DXレポート2.1』(DXレポート2追補版)として公表(2021年8月)。