2050年カーボンニュートラルに向けて、全世界でZEV(Zero Emission Vehicle、CO2排出ガスゼロの自動車)への取り組みが加速している。特に乗用車や商用車などの自動車は、運輸部門(自動車、船舶、航空、電車)全体の排出ガスのうち、約70%も占めているため、地球温暖化対策の側面からZEV化が急がれている。
このような中、トヨタ自動車(以下、トヨタ)は2021年12月14日、カーボンニュートラルの実現に向けた「バッテリーEV(BEV)戦略」とともに、同社が開発中のSUVタイプから高級車レクサスに至るBEV16車種を一挙に公開した(写真)。さらに、2030年までに30車種のBEVを展開していくことも発表した注1。
写真 披露されたトヨタの「バッテリーEV」(BEV)16車種
同時にトヨタは、2030年までのグローバルなBEV販売台数を、年間350万台まで上方修正した。
今回のトヨタの「バッテリーEV戦略」における注目点は、(1)CO2排出量を減らす「カーボンリデュースビークル」、(2)CO2排出量をゼロにする「カーボンニュートラルビークル」の両面からビジネスを展開するという、電動車(xEV)注2の全方位戦略を明確にしたところだ。
トヨタの豊田 章男社長は、2030年のBEVの販売目標を年間200万台から350万台に上方修正したことについて、「今年(2021年)はCOP26があった中で、各国のさまざまなエネルギー政策が見えた段階で、カーボンニュートラルビークルがこの目線までであれば実現可能と考え、上方修正した」と、COP26での各国のエネルギー政策の分析結果が背景にあったことも明らかした(関連記事:本誌30ページ参照)。
注1 トヨタ自動車、「バッテリーEV戦略に関する説明会」、2021年12月14日
注2 トヨタは、2021年3月期の決算説明会(5月21日)で「電動車」(Electrified Vehicle。総称:xEV)について、各車の表記を次のように変更した。①EV⇒BEV(Battery Electric Vehicle)、②HV⇒HEV(Hybrid Electric Vehicle)」、③PHV⇒PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)」、④FCV⇒FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)。