[クローズアップ]

IIJのカーボンニュートラルデータセンター実現への取り組み

― TCFD提言に基づいた情報開示と関西電力のVPP事業への参画 ―
2022/08/11
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

エネルギー利用の効率化と運用コスト低減の取り組み:関西電力の容量市場への参画

 IIJは、、2022年7月28日、白井DCCにおいて、BCP注8用蓄電池を活用し、関西電力をアグリゲーターとする「バーチャルパワープラント(VPP)」事業に参画することを発表した。(図5)

図5 関西電力の「バーチャルパワープラント」(VPP)」事業に参画

図5 関西電力の「バーチャルパワープラント」(VPP)」事業に参画

出所 株式会社インターネットイニシアティブ、「カーボンニュートラルデータセンター実現への取り組み」(2022年7月28日)、オンラインで説明会資料より

 VPPの電力需給制御の1つに位置づけられるデマンドレスポンス(DR)注9において、白井DCCの蓄電池の余力やオンサイト太陽光発電を活用して、アグリゲーターからの電力使用の抑制要請に応じ、アグリゲーターから報酬を得ることで、データセンターの運用コストの低減を図る。

 2022年7月から実効性テストを行い、2024年度から容量市場注10での実需給を開始する(表1)。

 電力のピークカットをする必要のない夏期以外の蓄電池の余力電力と、導入予定のオンサイト太陽光発電の電力を組み合わせて、100kW規模の需給調整(デマンドレスポンス)を実施する。

 容量市場への参画によって、電力市場の安定に貢献しつつ、中長期的にはすでに実証済みの受電ピークカット効果注11とDRによる報酬によって、蓄電池の投資コストの約40%の回収を目指す予定だ。


▼ 注8
BCP:Business Continuity Planning、事業継続計画。災害などの緊急事態において、企業や団体がその被害を最小限に抑え、事業継続ができるように対策や方法をまとめた計画のこと。

▼ 注9
DR:Demand Response。電気の需給バランスをコントロールするために行う需要家側の電力使用量を制御。「時間帯別に電気料金設定を行う」「ピーク時に使用を控えた需要家に対価を支払う」などで対処する。

▼ 注10
容量市場:将来にわたる電力供給力を確保するために、電力量(kWh)ではなく、将来の供給力(kW)を取引する市場。

▼ 注11
白井DCCでは、エネルギー利用効率化の施策の1つとして、BCP用のリチウムイオン型蓄電池を夏場の空調用電力の平準化のために活用し、2020年には、夏場の最大電力を10.8%低減するピークカット効果を実測した。
https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2020/1217.html

ページ

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...