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再エネ主力電源化時代! 知っておくべき基礎用語(4)「予備率」とは? 「需給ひっ迫警報」とは?

— 気候変動に伴う電力危機へのシグナル —
2022/09/09
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

「需給ひっ迫」時には3段階で対応

〔1〕初めての「電力需給ひっ迫警報」発令は2022年3月

 図1で示したように、電力の安定供給には予備率3%が最低限必要とされている。

 まず、予備率が3%以上5%未満にまで低下すると「厳しい見通し」になり「電力需給ひっ迫注意報」が発令される。さらに3%未満になると「非常に厳しい見通し」になり「電力需給ひっ迫警報」が発令される。

 「需給ひっ迫警報」は、2012年5月に創設された電力エリア(電力会社管内)間で電力融通などの対策を実施しても、なお電力が不足するエリアの予備率が「3%を下回る見通し」の場合に、国(資源エネルギー庁)が発令する制度である。この制度は、2011年3月11日に発生した東日本大震災で起こった原子力発電所の事故などによって、電力需給がひっ迫したことから、翌2012年の5月に導入・運用が開始されたが、10年後の2022年3月22日に初めて適用された。

 具体的には、2022年3月16日の福島県沖地震(M7.4、震度6強)の影響と、気温の急低下と悪天候(降雪による厳寒)が予想されたため、東京エリアと東北エリアに、初めて「電力需給ひっ迫警報」が発令された。

 しかし、東京エリアで初めて発令された「電力需給ひっ迫警報」に対して、その発令のタイミングが「前日の午後8時(20時)過ぎ」であった注1ため、家庭や企業などでは、節電に取り組む時間が切迫し過ぎてその対応が遅れたという問題が発生した。そのため、「電力需給ひっ迫警報」は、「前日の18時頃」から「前日の16時頃」へと、前倒しして発令するように改訂された。

〔2〕「需給ひっ迫準備情報」「需給ひっ迫注意報」「需給ひっ迫警報」

 このため資源エネルギー庁では、図2に示すように、少しでも早く節電の必要性を周知するため、前日の16時頃に発令注2する「電力需給ひっ迫注意報」が2022年5月に創設され、2022年6月26日に初めて「電力需給ひっ迫注意報」の発令となった。

図2 電力の「需給ひっ迫」に関する情報の発令・発信時期

図2 電力の「需給ひっ迫」に関する情報の発令・発信時期

出所 資源エネルギー庁、「2022年度の電力需給見通しと対策について」、2022年5月27日

 同時に、前々日の18時頃をメドに、最終的な電力の需給調整を行う一般送配電事業者が、「需給ひっ迫準備情報」を発信することになり、2022年6月27日に、初の「電力需給ひっ迫準備情報」が発信された。

 このように、現在、電力の需給ひっ迫時には、「需給ひっ迫準備情報」「需給ひっ迫注意報」「需給ひっ迫警報」の3段階で対応されている(表1)。

表1 電力の「需給ひっ迫」時の対応(2022年度時点)

表1 電力の「需給ひっ迫」時の対応(2022年度時点)

広域予備率:連系線でつながっている全9エリア(沖縄を除く日本全体)での予備率。これに対し、各電力エリア内の予備率のことを「エリア予備率」という。
※1 https://www.occto.or.jp/oshirase/shiji/20220627_jukyushiji_8.html
※2 https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220626001/20220626001.html
※3 https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220321001/20220321001.html
出所 資源エネルギー庁、「2022年度の電力需給見通しと対策について」(2022年5月27日)の30ページ等をもとに編集部で作成

でんき予報(便利な日々の電力情報)

 「でんき予報」は、東日本大震災に伴って実施された計画停電や節電要請を契機に構築され、身近な「天気予報」のように、電力ひっ迫時の重要な情報として活用されている。この「でんき予報」は、各電力エリアの日々の電力需給の予測と実績を、電気を使う需要家に対して電力会社が提供している。需要家は、インターネット検索画面に「でんき予報」と入力するだけで同予報に容易にアクセスでき、家庭や会社がどの程度節電すればよいかなどの参考となっている。

 最近では、供給力(kW)だけでなく電力量(kWh)の情報発信も追加されるなど、各電力エリアの電力会社が提供する電力需給のデータシステムとなっている。

 さらに、「でんき予報」は、日ごとの電力使用状況や電力供給量も表示され、各電力エリア(管内)注3の需給状態の見通しがリアルタイムにわかる注4


▼ 注1
資源エネルギー庁、「2022年3月の東日本における電力需給ひっ迫に係る検証について」(2022年4月12日)の3ページ

▼ 注2
資源エネルギー庁、「2022年3月の東日本における電力需給ひっ迫に係る検証について」(2022年5月27日)の4ページ

▼ 注3
北海道電力管内、東北電力管内、東京電力管内、中部電力管内、北陸電力管内、関西電力管内、中国電力管内、四国電力管内、九州電力管内、沖縄電力管内

▼ 注4
ここには、太陽光発電の発電量(kW)や使用電力に対する太陽光発電の割合(%)なども表示される。

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