新会社「送配電システムズ」を設立
東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東京電力パワーグリッド)をはじめとする各地の一般配送電事業会社10社は、2023年9月1日、共同で「送配電システムズ合同会社」(以下、送配電システムズ)を設立した。同社の概要は表1の通り。
このほど設立された「配送電システムズ」では、一般配送電事業各社間の中立性を確保しながら、配送電に関する各種システムの開発・保守・運用を担う。主な取り組みは次の2つ。
表1 「送配電システムズ合同会社」のプロフィール(敬称略)
※ 電力データの提供は2023年9月より東京電力パワーグリッドが開始し、順次対象エリアを拡大していく予定。
〔取り組み❶〕各社間の電力の効率的な供給や融通を推進
1つが「次期中央給電指令所システム」(以下、次期中給システム)の構築だ(図1)。現在、一般配送電事業会社では、電気の使用量と発電量のバランスを保ち周波数調整を担う「中央給電指令所システム」を各社それぞれに開発・運用しているが、新システムによってその仕様を統一し共有化を進める。
この一元的な新システム基盤のもと、情報公表や系統制約を考慮した全国一括での最適な経済運用、全国大(全国規模)でのレジリエンス(強靭性)確保とコスト削減の両立、および制度変更に対する拡張性や柔軟性の確保などを目指す。
〔取り組み❷〕社会課題の解決に電力データを提供
もう1つが利用者の電力使用量などのデータ利活用を促進する「電力データ集約システム」の構築だ(図2)。一般配送電事業者がもつ個人データや統計データを集約し、それを各自治体と共有することで地域のレジリエンス強化につなげる。加えて、全国の電力データの利用・提供環境の整備を行う一般社団法人電力データ管理協会注1との連携によって、平時の高齢者居宅の見守りや環境対策といった社会課題の解決にも活用していく。
データ提供は2023年9月より東京電力パワーグリッドが開始し、順次対象エリアを拡大していく。
図1 次期中央給電指令所システムで実現を目指すもの
簡易指令システム:各エリアの中給システムと専用線で接続されていない小規模な発電機やデマンドレスポンスのアグリゲーターに、IP-VPNを使用して指令を送信するためのシステム〔IP VPN:IP Virtual Private Network(仮想専用線)。企業等の拠点間の接続に、プロバイダなどの通信事業者の閉域IP(Internet Protocol)ネットワーク網を使った通信技術のこと〕
MMS:Market Management System、需給調整市場システム。需給調整市場の入札を受け付け、約定(やくじょう、取引)を行うシステム
広域機関システム:日本全国の短期〜中長期的な安定供給を確保する役割を担う OCCTO(電力広域的運営推進機関)がその目的のために使用するシステム
NW:ネットワーク
I/F:インタフェース
出所 東京電力パワーグリッド株式会社、プレスリリース 2023年8月31日、
「送配電システムズ合同会社」の設立について、別紙「配送電システムズ合同会社の取り組み」をもとに編集部で一部加筆・修正
図2 電力データ集約システムの運用イメージ
出所 東京電力パワーグリッド株式会社、プレスリリース 2023年8月31日、
「送配電システムズ合同会社」の設立について、別紙「配送電システムズ合同会社の取り組み」
参考サイト
「送配電システムズ合同会社」の設立について
東京電力パワーグリッド株式会社(プレスリリース 2023年8月31日)