三菱日立パワーシステムズは2018年6月22日、福島県いわき市で建設中の「石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)」設備の中核設備である「石炭ガス化炉」を同社の長崎工場(長崎県長崎市)から出荷したと発表した。今回出荷したのは、長崎工場で初めて制作した石炭ガス化炉だという。
図 長崎工場から福島県いわき市に向けて出荷した石炭ガス化炉
出所 三菱日立パワーシステムズ
このIGCC設備の建設工事を発注したのは、2016年10月に三菱重工業など5社が共同で設立した「勿来IGCCパワー合同会社」(参考記事)。三菱日立パワーシステムズは発注を受けて、2018年3月から建設工事を始めていた(参考記事)。
IGCCでは石炭を直接燃焼させず、石炭の微粉末を加熱して可燃性のガスを取り出して、このガスを燃料としてガスタービンで発電する。石炭を直接燃焼させないため、大気汚染物質の放出量を大きく抑えられる。さらに、一般的な石炭火力発電所では利用できない低品位炭(亜瀝青炭や褐炭など)も利用できるため、燃料コストを下げられる。
また、ガスタービンで燃焼させた高温の排気ガスや、石炭をガス化する際の熱を使って水蒸気を作ってタービンを回転させる「コンバインドサイクル」となっている。IGCCは既存の石炭火力発電所に比べて発電効率が約10~15%高くなるという。
三菱日立パワーシステムズは今後、いわき市に建設中のIGCCに向けて「石炭ガス化炉圧力容器」や付帯機器を出荷していく。このIGCCの出力は540MW(54万kW)で、2020年9月に運転開始の予定だ。
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三菱日立パワーシステムズ