EP5Gは次世代のプライベートネットワークソリューション
5Gの急速な普及と新たに台頭してきたIoT/AI市場を背景に、エリクソン・ジャパンは2023年11月20日、エリクソンプライベート5G(EP5G:Ericsson Private 5G)装置を使った実証実験の成功を発表した注1。
同社は2023年6月に4.7GHz帯の免許を取得(表)し、一般業務用としては仙台市で初のローカル5G無線局であるEP5G装置(写真。仕様は非公開))によって、実証実験を進めている。
EP5Gは、単一サーバ上のデュアルモードコア(1つのサーバ上で4Gと5Gの両方をサポート)を介して、安全で高信頼の4Gおよび 5Gのコネクティビティを提供する次世代のプライベートネットワークソリューションだ。
今後、5Gが提供する「超高速」「超低遅延」「多数同時接続I(oT)」の実現に向けて、安全な5Gの接続性を提供し、企業のデジタル化(DX)を加速していく。
表 東北総合通信局がエリクソン・ジャパンに付与したローカル5G無線局に対する周波数包括免許:移動体通信事業において、携帯電話(スマートフォン等)などの無線局を個別に免許取得をせずに、1つの免許で複数の同一タイプの無線局(スマートフォン等)を開設する(使用する)できるようにする制度のこと。
出所 東北総合通信局報道資料、令和5(2023)年6月16日、「エリクソン・ジャパン株式会社のローカル5Gの無線局に免許 -企業等が業務に使用する目的で開設するローカル5Gの無線局としては仙台初-」をもとに編集部で作成
写真 エリクソンプライベート5G(EP5G)の関連製品群出所 エリクソン・ジャパン提供資料をもとに日本語化して作成
EP5G実証実験の成功例(1):4K画像を59ミリ秒の遅延時間で配信!
2023年10月にコニカミノルタと協力し、同社の画像技術と最新のIoT/AI技術であるFORXAI(フォーサイ)注2 を搭載した低遅延カメラ(FORXAI Experience Kit Low Latency)注3をEP5Gに接続し、LTEでは実現できなかった4Kの画像を59ミリ秒の遅延時間で配信する実証実験に成功した。
今後は、鮮明な画像をもとに遠隔操作するなどのシーンでの応用が期待できる。
EP5G実証実験の成功例(2):公衆網やインターネット経由よりも迅速に緊急地震速報を配信!
また、株式会社ミエルカ防災(以下、ミエルカ防災。東京都千代田区)と米国Zebra Technologies注4の協力のもと、EP5Gを介した緊急地震速報を、公衆網やインターネット経由の速報よりも迅速に配信することにも成功した。
ミエルカ防災のサービスは、気象庁の緊急地震速報と同社が設置した地震計の両方からの情報を利用し、より速く(直下地震も本震が来る前に)、より正確に情報を提供するというもの。EP5Gを介して提供される正確な情報をもとに数秒速く精密機械を停止することで、高価な機械の損傷を防ぎ、さらに拠点内の従業員の安全担保にも寄与している。
注1:「エリクソン・フォーラム2023 ―根本的変化をもたらすテクノロジーとサービスに備える」(赤坂インターシティコンフェレンス。東京都港区赤坂)にて発表。
エリクソン・ジャパンプレスリリース、「エリクソン、ローカル5G商用局を用いた相互接続試験に成功」、2023年11月20日
注2:FORXAI:フォーサイ。「未来を切り開く先見性:Foresight」と「AIを社会のために:For X AI」という2つの思いが込められている。
https://forxai.konicaminolta.com/
注3:FORXAI Experience Kit Low Latency:低遅延に最大4Kの画像を配信できる5G通信にも対応したカメラ。
https://forxai.konicaminolta.com/service/environment/device/02
注4:米国Zebra Technologies:エリクソンのインダストリー4.0パートナー。モバイルコンピュータやタブレットなどのデジタルソリューションを提供している。
参考サイト
エリクソン・ジャパンプレスリリース、「エリクソン、ローカル5G商用局を用いた相互接続試験に成功」、2023年11月20日
東北総合通信局報道資料、令和5(2023)年6月16日、「エリクソン・ジャパン株式会社のローカル5Gの無線局に免許 -企業等が業務に使用する目的で開設するローカル5Gの無線局としては仙台初-」