5G加入が先行している北米エリアでは5G加入が70%へ
世界の地域ごとの5G加入者数を見ると、北米では2024年ですでに7割にのぼっている(図4)。「5Gの普及状況を背景に北米では今後、5G SAの新たなサービス展開がなされるはずで、今後5Gの普及が進展する日本にも良い参考となるでしょう」と鹿島氏。
2030年には、サハラ以南のアフリカ地域のように、現在、5G加入者数が少ない地域でも約3割に成長する。その他の地域も同様に5割以上、北米や西欧では9割近くと、あらゆる地域で5Gへの移行が着実に進んでいる。
図4 地域およびテクノロジー別のモバイル契約者数(%)
出所 エリクソン・ジャパン株式会社、「エリクソンモビリティレポート 2024年11月版記者説明会」より
5Gは2030年までに5倍の容量確保が目標
モバイルネットワークの月間データトラフィックは、2018年をピークに縮小傾向だが、それでも年率21%の増加を記録している。特に5GモバイルデータトラフィックとFWA(Fixed Wireless Access、固定無線アクセス。後述)の伸びが顕著で、2030年は現状の約3倍になることが予測されている。
5Gモバイルデータに限ると、2024年から2030年までの間に約5倍の伸びが予測されている(図5)。そのため、今後5Gネットワーク全体で5倍の容量確保が目標となり、大規模な増強は今後も引き続き必要となる。それにあたって、「現状の4Gトラフィックをいかに5Gに移行していくか、全体的な戦略が欠かせない」と鹿島氏はいう。今後5Gネットワークの本格化にあたっては、ミッドバンド注4の重点的な整備が欠かせない。どのバンドからいつ、どのように5G移行するか、ユーザーの利用状況や端末の5G移行状況なども踏まえて戦略を策定することが、スムーズな5Gトラフィック移行に必要だ。
また、ユーザーの端末単位での月間トラフィックは、2024年の約19GBから2030年には約40GBと、2倍以上に増加する見込みだ。容量無制限の通信サービスでは、現状でも月間30GBの通信量も一般的となっている。5G化によって交信するデータの高精細化や、通信時間の増大などが進み、それに従ってトラフィック量の増加も進むと見られている。
図5 世界のモバイルネットワークのデータトラフィック(EB/月)
EB:Exa Byte、エクサバイト。1エクサバイト(EB)は10億ギガバイト(10億GB)
出所 エリクソン・ジャパン株式会社、「エリクソンモビリティレポート 2024年11月版記者説明会」より
欧州では特に5G FWAが顕著な伸びを示す
注目すべき点として、FWA(Fixed Wireless Access)が挙げられる(図6)。
FWAは、有線通信による固定ブロードバンド回線の代替として、5Gや4Gの無線通信によって提供されるサービスで、接続数は2024年の1億6,000万件から2030年には3億5,000万件へ2倍以上の増加が見込まれている。この状況は特に欧州において顕著で、過去12カ月に開始された5G FWAのうち73%を占めている。この増加分はほとんどが5Gだが、4Gも2026年前後までは伸長すると予測されている。
FWAは、固定回線のブロードバンドの代替手段として定着しつつあり、料金は固定回線でユーザーにも馴染みのある速度ベースの設定が主流だ。特に、北米では提供されているサービスすべて(100%)が速度ベースとなっている(図7)。
「無線通信は固定回線に比べて、回線速度が周囲の環境の影響を受けやすいので、ある程度のレベルが見込める地域で限定的にサービス提供を始める例が多くなっています。この傾向は今後も続くと思われます」(鹿島氏)。
こうした状況を背景に、FWAで利用されている顧客側のCPE(Customer Premises Equipment、顧客構内設備)の出荷台数は2024年度中に23%増加し、3,700万台に達すると予測されている。CPEは、アンテナの効率が高くなる屋外設置タイプが多く提供されているが、これに加えて屋内外でも柔軟に設置できる「Flexi(フレキシー)」と呼ばれるCPEタイプも登場している。これらによって、FWAは今後も成長を続けると見られている。
図6 5Gや4Gの無線通信によって提供されるFWA接続の推移
出所 エリクソン・ジャパン株式会社、「エリクソンモビリティレポート 2024年11月版記者説明会」より
図7 2024年の各地域での通信事業者によるFWA導入
出所 エリクソン・ジャパン株式会社、「エリクソンモビリティレポート 2024年11月版記者説明会」より
注4:ミッドバンド:5Gネットワークでは、大きくハイバンド(High-band、高周波数帯。24GHz帯以上)、ミッドバンド(Mid-band、中間周波数帯。1〜6GHz帯)、ローバンド(Low-band、低周波数帯。1GHz帯以下)の3つの周波数帯が使用される。ミッドバンドは、通信容量とカバレッジ(通信範囲)のバランスをとった利用に適している(日本では3.5GHz帯と4.5GHz帯が5Gミッドバンドとして割り当てられている)。本フォーラム「特別レポート:“爆増”する5G通信量、カギとなる5Gミッドバンドの整備」も参照。