[特別レポート]

“爆増”する5G通信量、カギとなる5Gミッドバンドの整備

『エリクソンモビリティレポート2024』を読み解く
2024/08/13
(火)
フリーライター 篠田 哲/インプレスSmartGridニューズレター編集部

エリクソンが年2回発表している、独自の調査・分析による「モビリティレポート2024」(写真左は日本語版)が今年(2024年)も6月に発表された。
2024年7月25日に東京で行われた発表では、5GのSA(Standalone)への移行の本格化によって5G通信量はどの程度増大するか、その状況に対応しつつ、収益性を高めるにはどのような考え方や手段があるかなどについて説明された。ここでは、エリクソン・ジャパン株式会社のCTO(最高技術責任者) 鹿島 毅(かしま つよし)氏(写真右)による説明をレポートする。

写真(左)『エリクソンモビリティレポート2024』の表紙(2024年6月27日発行、全40ページ)、
(右)エリクソン・ジャパン株式会社 CTO 鹿島 毅(かしま つよし)氏


出所 (左)エリクソン・ジャパン『エリクソンモビリティレポート』、2024年6月
(右)エリクソン・ジャパン株式会社撮影

[最新マーケット動向]

 最新のマーケット動向の分析は、エリクソンが継続的に行っている調査データによるもの。今回の分析は世界マーケットにおける5Gの動向とその技術トピックがメインとなった。

2029年、世界の5G加入契約数は56億件に

 2G〜5G各世代の全世界のモバイル加入契約者数に関して、5Gの加入契約は2024年第1四半期で新たに約1億6,000万件、同年(2024年)通年で6億件の増加が見込まれ、世界全体の5G加入者は17億件を超える。
 エリクソンの予測では、5年後の2029年(総加入契約数:93億)には5G加入契約数が56億件近くに達し、世界の5G人口カバー率は2023年末(総契約数:85億)の40%から2029年末までに80%(中国を除く)注1となる見込みだ(図1、図2)。

図1 テクノロジー別のモバイル加入契約数(単位:10億)

出所 エリクソン・ジャパン株式会社、「エリクソンモビリティレポート 2024年6月版記者説明会」資料P5より抜粋

図2 地域別の世界人口とミッドバンドカバレッジ(2023年末)と2029年末の予測(注:右図は中国を除いた場合)

出所 以下のP20より抜粋
https://www.ericsson.com/4a1822/assets/local/about-ericsson/company-facts/wordwide/japan/doc/20246.pdf


注15G のカバレッジ(5G電波の送受信可能な地域)から中国を除いている理由:カバレッジについては、中国を含まないデータのほうが世界のトレンドを理解するうえで適しているため。レポートのP20「5Gミッドバンドの人口カバー率は35%に到達」(図2参照)に示す通り、中国では5Gミッドバンドの人口カバー率がすでに95%に達している。中国の規模の大きさを考慮すると、中国を含む世界平均の数字では世界全体の現状を表す適切な数字とはいいにくいため、カバレッジについては中国を除いた世界の数字を出している。

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