3GPP2とは?その設立の目的と経緯
3GPP2(Third Generation Partnership Project 2)は、ITU-Rで標準化された無線方式の一つである、CDMA2000無線アクセス方式と、発展型ANSI-41(American National Standard ANSI/TIA/EIA-41)コア・ネットワークを採用するファミリーの標準仕様の作成を目的として、1999年1月に発足した。
このプロジェクトの設立は、ANSI(American National Standards Institute、アメリカ規格協会)が計画し、米国および諸外国の標準化機関(SDO:Standards Development Organization)に呼びかけて実現したものである。3GPP2の標準化機関パートナー(OP:Organization Partner)として参加しているSDOは次の5つ。
(1)日本のARIB(社団法人電波産業会)
(2)日本のTTC(社団法人情報通信技術委員会)
(3)中国のCWTS(China Wireless Telecommunication Standard Group、中国無線通信標準化グループ。現在はCCSA[China Communications Standards Association、中国通信標準化協会])
(4)米国のTIA(Telecommunications Industry Association、米国電気通信工業会)
(5)韓国のTTA(Telecommunications Technology Associations、電気通信技術協会)
3GPP2のパートナーは、OPと市場代表パートナー(MRP:Market Representation Partners)で構成され、CDG(CDMA Development Group、CDMA開発者グループ)がMRPとして参加している。
3GPP2の組織構成
3GPP2は、図1に示すように、OPが運営に参加するステアリング委員会(SC:Steering Committee)と、各SDOの個別のメンバー企業(IM:Individual Member)が直接参加して技術仕様の作成作業を行う技術仕様化グループ(TSG:Technical Specification Group)の2つのグループで構成されている。
全体的には、3GPPと同じ構成になっている。SCは、TSGから提出される技術仕様(TS:Technical Specification)や、技術報告(TR:Technical Report)の最終的な採択、および既存TSGの所掌事項の承認などの3GPP2全体に係ることを決定する。
SC会合の開催頻度は、2003年以前は年4回、2003年からは年3回開催することになっている。規約上は少なくとも年2回の開催とされている。
SC会合は、各地域の持ち回りで開催され、その都度3GPP2の予算などの財務事項や、スコープ(検討の範囲や領域)などのパートナーシップに関わる問題を議論するOP会合も併せて開催される。また、TSGs会合は、「3GPP Super Meeting」と称して、8月と11月を除く毎月、同一場所で同時に開催されている。
3GPP2の発足当初は、5つのTSGで構成されたが、2003年2月にTSG-N(発展型ANSI-41 WIN[Wireless Intelligent Network、ワイヤレス・インテリジェント・ネットワーク])と、TSG-P(無線パケット・データ・ネットワーキング)を統合してTSG-Xが設立され、次の4つのTSG体制となった。
(1)TSG-A:Aインタフェース(BSC〜MSC、 BSC〜BSC)関連の仕様作成
(BSC:Base Station Controller、基地局制御装置)
(MSC:Mobile service Switching Center、移動関門交換機)
(2)TSG-C:CDMA2000関連の仕様作成
(3)TSG-S:サービスとシステム・アスペクト(サービス・システム全般に関わる事項)関連の仕様作成
(4)TSG-X:コア・ネットワーク関連の仕様作成
TSGの配下には、図2に示す複数のWG(Working Group)が設置され、ほぼ毎月会合を開催して詳細な技術仕様を作成しており、定期的に開催されるTSG会合で承認するプロセスをとっている。