IEEE 802.3 HSSGの概要
IEEE 802.3 HSSG(Higher Speed Study Group、高速化イーサネット検討会)は、2006年7月に結成された次世代の高速化イーサネットを検討するための検討委員会(Study Group)である。その主な目的は、正式な高速化イーサネットの標準化開始に向けて、標準の目標仕様を定めることである。
HSSGは、2006年7月のIEEE 802委員会総会においてその設立が承認され、それ以後は、同年9月18日〜21日に開かれた802.3WG中間会合(テネシー州ノックスビル)と、同年11月13日〜17日に開かれた総会(テキサス州ダラス)において2回の会合を開き、活発な議論が行われてきた。
今回は、その第2回会合をレポートする(第1回会合の内容は「802.1/802.3の標準化動向(4) 」を参照)。第1回の会合に引き続き、主に次の2点について議論された。
(1)高速化イーサネットの目指すべき市場
(2)高速化イーサネットに適用可能な技術・方式
また、本会合の最終日には、目標仕様(オブジェクティブ)に関する審議が行われ、採決が行われた。採決の内容と結果については後述する。
2006年11月会合における主な審議内容
【1】標準化スケジュール
本会合において、HSSG議長のジョン・ダンブロージア(John D’Ambrosia)氏(フォーステンネットワークス社)より、高速化イーサネットの目標となる標準化スケジュールが提案された(図1)。
※上図はHSSG公開アジェンダより作成。アジェンダ(PDF)は下記URLからダウンロード可能http://www.ieee802.org/3/hssg/public/nov06/agenda_01_1106.pdf
このスケジュール案によると、2007年3月までに目標仕様を完成させ、同年7月に「標準プロジェクト承認依頼(PAR :Project Authorization Request)」を提出する。タスク・フォースとしての正式な標準化審議は、2007年11月から行い、翌年の2008年5月には最初のドラフト(草案)を発行する。標準化完了は2009年11月の予定である。
HSSG第1回会合のレポートで紹介したように、本来であれば、2007年3月のIEEE 802委員会総会までに、正式な標準化承認依頼(PAR)を提出する必要があるが、今回のスケジュール案では、2007年7月に提出〔9月のIEEE-SA(Standard Association、標準化協会)承認〕の目標となっている。これは「いたずらに標準化開始を急ぐのではなく、目標仕様や標準化対象について、参加者の間で十分に時間をかけてコンセンサスを得たい」というHSSG議長の考えによるものである。