新たに 2.5GHz帯広帯域移動無線アクセスや
地上アナログ・テレビ放送の跡地利用などの検討へ
これらの電波開放戦略に基づく諸施策によって、電波の再配分、およびそれに基づく自由な電波利用環境の整備がおおむね整ったことになります。これら制度整備とあわせて、将来を見据えた周波数再編を行うためには、新たな電波利用ニーズを的確に把握し、周波数の再編や電波の有効利用によって使えるようになった周波数を、どのようなシステムに効率的に再配分していくかを検討することが重要です。
図1の中の「新たな周波数利用法の検討」に関する取組みとして、総務省では、「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」の開催(2004年11月~2005年12月)や、地上アナログ・テレビ放送終了後の空き周波数の有効利用方策の検討(2006年3月~)などの取組みを行っています。
【1】ワイヤレスブロードバンド推進研究会における検討
総務省は、2004年11月から2005年12月まで「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」を開催しました。この研究会では、世界最先端のワイヤレス・ブロードバンド環境の構築を目指し、国内の動向把握、将来の利用形態・マーケットの分析予想、普及のための課題の抽出などを通して、電波開放戦略における周波数再配分について具体的な検討を行いました。
また、検討に当たり、一般から将来のワイヤレス・ブロードバンド・システムについての提案を公募し(提案数:44者72件)、その提案者を中心として、産業界をはじめ広くオープンな場で議論を行いました。
その中で、将来のワイヤレス・ブロードバンド・システムとして、
(1) 次世代移動通信システム
(2) 有線ブロードバンド代替システム
(3) 安全・安心ITS(Intelligent Transport System、高度道路交通システム)
(4) 次世代情報家電
について、導入シナリオや候補周波数帯の検討を行い、2005年12月に最終報告がとりまとめられています。
現在、この研究会の検討結果を踏まえ、情報通信審議会において、次世代移動通信システムの1つである、WiMAXなどの広帯域移動無線アクセスシステムの2.5GHz帯への導入、および次世代情報家電を実現するための高速無線LAN(IEEE 802.11n)の導入に向けた制度整備に関する検討が、それぞれ今年の2月、3月から開始されています。
【2】地上アナログ・テレビ放送終了後の空き周波数の有効利用方策の検討
今後予定されている大規模な周波数再編として、VHF/UHF帯における地上アナログ・テレビ放送の完全デジタル化によるものがあります。
図9に示すように、現在VHF帯(30~300MHz)のうち、90~108MHzおよび170~222MHz、UHF帯(300~3000MHz)のうち、470~770MHzの、合計370MHz幅を使用している地上アナログ・テレビ放送が、2011年にデジタル化されることによって、周波数の有効利用が図られ、地上デジタル・テレビ放送では、130MHz少ない470~710MHzの240MHz幅のみを使用することとなります。
この空いた合計130MHz幅を有効利用するため(周波数の跡地利用と呼ばれる)、総務省は2006年3月、情報通信審議会に「電波の有効利用のための技術的条件」について諮問を行い、それと同時に行った「VHF/UHF帯に導入を計画または想定している具体的システムの提案募集」の結果(提案数:100者149件、181システム)に基づき、検討を開始しました。現在は、来年(2007年)6月の答申に向け、提案システムの類型化の作業中です。