NGNの標準化に関するITU-Tの体制
本連載の第1回でも解説したように、ITU-TにおけるNGN標準化の体制は、図1のようになっている。図1に示すように、NGN標準化の体制は、NGNアーキテクチャを検討しているSG13(Study Group 13)と、信号(シグナリング)要件やプロトコルを検討しているSG11が中核となっている。
さらに、2006年1月にジュネーブで開催されたSG13の第4回会合以来、FG NGN (Focus Group on NGN)の後継グループとして、SG13や関連するSG11、SG19などの合同会合であるNGN-GSI (NGN-Global Standards Initiative) も動きだした。
NGNの標準化に関するSG13の動向
さらに、2006年7月における第5回NGN-GSI全体会合 (SG11、SG13、SG19合同会合) において、NGN リリース1(Release 1)の基本的な勧告を確定した。
今回、NGN リリース 1として確定されたのは、表1に示す16件のうち既に勧告済みであるNGNのモデルとNGNの定義の2件を除く14件である(うちSG13で12件、SG11とSG19において各1件)。
それぞれの文書についての詳細は後述するが、今回の会合では、基本的な部分であるNGNのスコープ(範囲)や要求条件、全体アーキテクチャをはじめ、受付制御機能(サービス制御機能とトランスポート機能を仲介して、それぞれのリソースの利用の可否の判断や予約を行うもの)、PSTN(Public Switched Telephone Network、公衆電話網)からNGNへの移行時の留意規定、セキュリティ要求条件などの勧告が議論された。
SG13会合で勧告草案 Y.NGN-R1を確定へ
NGN標準化におけるNGN関連SGの調整機能として、SG13に設置されているNGN-JCA (The NGN Joint Coordination Activity)が、2006年7月に開催され、そのなかで、NGN リリース 1の総括文書である勧告草案「Y.NGN-R1」(欄外の用語解説1参照)の完成時期を2007年9月にすることが確定され、NGN リリース1の完成時期が明確になった。今後、2007年9月の完成に向け、SG13をはじめとするNGN関連SGにおいて関連の勧告の確定がなされていくものと思われる)。
また、SG13に設置されているOCAF(Open Communications Architecture Forum)FGでは、既製の装置(Commercial-Off-The-Shelf)で容易にNGN を構成できるようにすること、とくに通信用ソフトウェアの標準コンポーネントを確立することを目指し、CGOE(Carrier Grade Open Environment)参照モデルや具体的なコンポーネントの検討を行ってきた。2006年9月の会合において新たな課題として設定されることとなり、こちらについても勧告の確定を目指し検討を進めていくこととなる。
今後想定される動向としては、2006年10月から11月にかけてNGN-GSIが開催されることとなっており、関連するWP(Working Party、作業班。所掌する課題を分割し、詳細を検討する)会合において、議論がなされる予定である。