[標準化動向]

NGNの標準化動向(3):NGN リリース1(勧告Y.NGN-R1)が2006年9月に完成へ!

2006/09/27
(水)
SmartGridニューズレター編集部

NGN リリース1 スコープ (TRY.NGN-R1-Scope)

まず、NGN リリース1スコープの概要を見てみよう。リリース1の第4章において、NGN リリース1の目的として、拡張性のあるサービス・プラットフォームと全体アーキテクチャを規定することとされている。

また、統合IP網(IPv4またはv6)を前提として、複数のアクセス技術と、移動・固定の両方の端末を収容することとし、アクセス技術としては、xDSL、光(FTTH)、ケーブル(CATV)、LAN、PLC(Power Line Communications 、高速電力線通信)、無線LAN、3GPP/3GPP2、放送など、が列挙されている。

NGNで想定されるサービスとしては、表2に示すように、マルチメディア・サービス、PSTN/ISDNエミュレーション(用語解説2)、PSTN/ISDNシミュレーション(用語解説3)、トランスポート・ストラタム・サービス、(規則や法律に基づき提供される)公衆向けサービスなどが挙げられている。

表2 NGNで想定されるサービス
表2 NGNで想定されるサービス (クリックで拡大)

NGN リリース1 要求条件 Y.2201 (Y.NGN-R1-Reqts)

次は、NGNリリース1要求条件についてである。この勧告では、リリース1におけるハイレベルな要求条件が網羅的に記述されている。ただし、プロトコルを具体的に規定するような詳細な要求条件や、サービスに依存する要求条件については、この勧告の対象外となっている。

また、ユーザー端末装置自体の要求条件についても対象外である。NGNを実装するにあたり通信事業者は、ここに記載されている要求条件のうち必要なものを選択して、実装すればよいことになる。表3に、要求条件として勧告に記載されている項目を挙げておく。

表3 NGN リリース 1 要求条件の記述項目
表3 NGN リリース 1 要求条件の記述項目 (クリックで拡大)

次回は、NGNの標準化動向の全体像である、NGN リリース1として確定された文書のうち、今回紹介しなかった部分についての詳細をレポートする。

用語解説

※1 Y.NGN-R1
Yは、ITU-T勧告のYシリーズを意味する。Yシリーズとは、ITU勧告のうちグローバルな情報基盤やIP(インターネット・プロトコル)関連、NGNなどを扱うITU-Tの勧告群として位置づけられている。Y.NGN-R1は、ITU-T勧告のNGN リリース 1の総括文書であり、リリース1を構成する多くの文書を総括するもの。今回確定された基本的な勧告というのはリリース1のうちスコープ(範囲)や要求条件といったリリース1のうちの一部。

※2 PSTN/ISDNエミュレーション
既存の電話網(PSTN/ISDN)とNGNのサービスの互換性を図る方法。すなわち、NGNになっても、自動的に従来の電話機をそのまま利用できるサービス。

※3 PSTN/ISDNシミュレーション
NGNで既存の電話サービスを模擬(既存の電話の機能を模倣して実現すること)する方法。したがって、従来の電話機はIPのインタフェースをもつアダプタを介して接続し、サービスを受けることになる。

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