[特集]

NGNの核となるIMS(3):IMSアクセス・セキュリティ(その1)IMPIとIMPUでユーザーを識別

2006/10/06
(金)
SmartGridニューズレター編集部

ISIM

このように、IMSではIMPIとIMPUで加入ユーザーを識別しますが、これらの「ユーザー識別子」と契約時に割り当てられる「長期共有キー」、当該ユーザーのホームIMSネットワーク・ドメインの「URI」がISIM (IMS Subscriber Identity Module、ISM加入者識別モジュール)と呼ばれるアプリケーション・モジュールに格納されます。

3GPP移動通信ネットワークでは、ISIMはUSIMとともにUICCに格納されます。言い換えると、IMSサービスの利用を契約しているユーザーの移動端末には、USIMとISIMのアプリケーションを両方格納するUICCが挿入されるのが、標準的な形態となります。

一方、IMSネットワーク側では、3GPP移動通信ネットワークの場合、HSS(Home Subscriber Server、ホーム加入者サーバ)と呼ばれる装置に、加入ユーザーのIMSユーザー・プロファイル情報として、先に述べたユーザー識別子、長期共有キー、ユーザーの加入サービス・プロファイルなどが格納されます。

HSSには、後述する認証計算アルゴリズムも含まれます。なお、3GPP標準では、HSSはHLR(Home Location Register、加入者の位置情報などを保持するデータベース)も含む機能構成要素として定義されています。

NGNでは、3GPPの既存標準であるIMSを再利用しており、IMPI、IMPUをユーザー識別子としてISIMの概念が導入されています。

ETSI TISPAN NGN(ビック対談:江﨑浩 vs 冲中秀夫(2)、用語解説参照 )標準の場合、IMSの加入ユーザー・プロファイル情報データベースと認証計算アルゴリズムはUPSF(User Profile Service Function、ユーザー・プロファイル・サービス機能)と呼ばれる機能構成要素の機能として定義されています。

なお、3GPP標準のHLRに対応する機能は、ETSI TISPAN標準では、NASS(Network Attachment Subsystem、ネットワーク接続制御機能)のPDBF(Profile Database Function、プロファイル・データベース機能)やUAAF(User Access Authorization Function、ユーザー・アクセス認可機能)と呼ばれる機能構成要素の機能として定義されています。

また、詳細は省略しますが、ETSI TISPAN NGNでは、ISIMをもたないIMS非対応端末を収容する方式として、ユーザー宅内でISIMをもつレジデンシャル・ゲートウェイ(IRG:IMS Residential Gateway)を使用する構成が、オプションとして導入されています。
(つづく)

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