NTTのNGNフィールド・トライアルの実験内容と課題
—昨年(2006年12月20日)のNTTのフィールド・トライアルの開始についての記者会見では、参加事業者(表1)による実験・展示内容(文末の表2〜7を参照)が発表されましたね。フィールド・トライアルのショールームでは、たくさんのアプリケーションが実験されていますね
▽NGNフィールド・トライアル開始の記者発表の模様
http://wbb.forum.impressrd.jp/news/20061220/357
村上 ええ。東京の大手町と大阪の梅田の2ヶ所で、NOTE(NGN Open Trial Exhibition)という名称で、ショールームを開設し、NGNを利用したサービスや端末機器を具体的に操作し体感できるようになっており、また、技術確認が行えるようになっています。
森川 今回のフィールド・トライアルについて、出てきたアプリケーションを見ると、今の段階ではあまり革新的なことはみあたりませんね。でも、それは致し方ないことなのかなと思いますし、将来には出てくるように、これからドライブしていくことがとても重要だと思いますね。
村上 おっしゃるとおりです。今回のトライアルは新しい土台というか、土壌をつくっているのです。それが日本の技術として、今後、NGNを通して、世界に先行して、広めていけるアプリケーションが出てくるようなことがあれば、やった意義があるのではないかと思います。
森川 そういう意味では、今のフィールド・トライアルのデモが、NGNのすべてだと思われてしまうといけないですね。あれは単なるスタートアップなのですからね。
(つづく)
プロフィール
森川 博之 (もりかわ・ひろゆき)
東京大学 大学院工学系研究科
電子工学専攻 教授
略歴
1987年 東京大学 工学部 電子工学科卒業。1992年同大学院博士課程修了。1997年〜1998年 コロンビア大学客員研究員。2002〜2006年 NICTモバイルネットワークグループリーダ兼務。現在は東京大学で教授を務め、コンピュータネットワーク、モバイルコンピューティング、無線ネットワーク、フォトニックインターネット等、多岐にわたる分野で活躍している。総務省情報通信審議会、国土交通省交通審議会専門委員。
村上 龍郎 (むらかみ・たつろう)
NTTサービスインテグレーション基盤研究所
主席研究員
略歴
1981年 日本電信電話公社(現NTT)に入社、武蔵野電気通信研究所。以来、通信ソフトウェアの研究、交換機ソフトウェアの開発、広域LANの構築、インターネットオフロード・VoIPの研究開発を担務し、現在、NGNアーキテクチャの検討をはじめ、NGN関連の標準化に向け精力的に活動している。