RFIDの基礎と最新動向(11):電子マネーとしての非接触ICカード(その1)Edyの歴史・前編

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2007年6月19日 (火曜) 0:00

本連載「RFIDの基礎と最新動向」では、2006年から各種産業分野で本格的な運用事例が目立ちはじめたRFIDの基礎から応用例、最新動向までを取り扱います。第11回からは、数回にわたって電子マネーとしての非接触ICカードを取り上げていきますが、まず始めに非接触ICカードを利用した電子マネーの第1号であるEdyを取り上げます。

 Edyは、2001年にサービスをスタートし、今年で6年が経過しました。2007年5月28日の発表によれば、累計発行数は3,000万枚を超え(モバイルEdyを含む)、現在では月当たり約100万枚のペースでさらに増加を続けています。Edyと電子マネーとしてのSuicaをライバル同士に見立てて、それぞれの将来性や優劣を論じる声もありましたが、現在のところEdyもSuicaも共に発行数を伸ばし続けています。まずは、Edyが発行数を伸ばし続けている理由を明らかにするための1つのアプローチとして、Edyの歴史を見ていきましょう。

写真1 サービス開始当初のEdyカード
写真1 サービス開始当初のEdyカード(クリックで拡大)

 なお、非接触ICカードの仕組みや非接触ICカードを利用した各サービスの概略については、本連載の第7回と第8回で取り上げているので、あわせてご覧ください。

2001年 ビットワレット設立、サービススタート

1月18日

 Edyの事業会社である「ビットワレット株式会社」が設立されました。同社の事業内容は「プリペイド型電子マネー・サービス“Edy”事業の企画・運営、プリペイド型電子マネーのカード発行会社・利用可能店舗開拓、Edyブランドの管理」で、資本金は50億円、設立当初の株主構成は表1のとおりです。

表1 ビットワレット設立時の株主構成

株主持株比率
ソニー株式会社5%
株式会社ソニーファイナンスインターナショナル42%
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ15%
株式会社さくら銀行5%
さくら情報システム株式会社6%
株式会社日本総合研究所4%
トヨタ自動車株式会社5%
株式会社デンソー5%
株式会社ディーディーアイ5%
株式会社三和銀行4%
株式会社東京三菱銀行4%

 

3月

 試験サービスとして、ビットワレットが入居するビル「ゲートシティ大崎」、「am/pm」の一部店舗で、さくら銀行の発行するEdyカードを利用して預金口座や現金での入金、Edyカードでの支払い、インターネット上でのクレジットカードを使った入金、音楽配信サイトでの決済を実施しました。

11月1日

 サービスを本格的に開始しました。サービス本格開始の案内とともに、2003年度内に次の数値を達成することが目標として発表されました。

  • Edyカード発行:850万枚
  • 加盟店数:23,000店
  • 個人用リーダー/ライター販売数:400万台

 Edyのバリュー(価値)の発行には、ビットワレットのほか、ソニーファイナンスインターナショナル、三井住友銀行、トヨタファイナンス、ディーシーカード、ダイエーオーエムシーカードの各社の参加が決定しました。

 ビットワレットが発行するEdyカードのほか、表2に挙げたEdy搭載カードが2002年3月までに発行予定であると発表されました。

表2 2002年3月までに発行予定のEdy搭載カード

種別名称発行予定数
Edy専用カードエーエム・ピーエムEdyカード
社員証ソニー社員証約21,000枚
東京三菱銀行行員証約20,000枚
サンデン社員証
エーエム・ピーエム社員証
会員証デリスクラブカード
AIIブロードバンドメンバーズカード
クレジットカードのサブカードトヨタティーエスキュービックEdyカード約7,000枚

※発行予定数は、公表されたもののみ。

 

 Edyでの決済に対応すると発表された店舗などは表3、Edyのインターネット上でのチャージ(入金)に対応すると発表されたクレジットカードなどは表4のとおりです。

表3 Edyでの決済に対応すると発表された店舗など

店舗名導入時期備考
エーエム・ピーエム・ジャパン2002年夏全店導入予定
品川インターシティ2001年12月より順次
サンデン 赤城事業所2002年3月より売店、食堂、自動販売機約100台
トヨタ記念病院自動販売機(17台)は
2002年1月~6月までの試行
売店、レストラン、
医療費の一部支払い
パーク242002年4月から順次品川・大崎地区数店
ソニービル、ソニータワー2002年春
ソニープラザ2002年春より順次
So-net e-Mart出店企業2001年1月より順次JAL SHOP、Franc franc、GRANVIKなど
e-SCOTT採用ecサイト2001年11月より順次e-SCOTTは、ソニーファイナンスが運営
Gazooが運営するecサイト2002年2月から6月まで試行
ソニースタイル2002年春
ソニーミュージックグループ
が運営するecサイト
2002年春
エンタテインメントプラス(e+)2002年春
エー・アイ・アイが運営する
ブロードバンドコンテンツサイト
2002年春
Bitway2002年春凸版印刷が運営

 

表4 Edyのチャージに対応すると発表されたクレジットカードなど

名称開始時期
三井住友カード
UCカード
NICOSカード
ORICOカード
CFカード
ソニーファミリーカード2001年11月末
ダイエーオーエムシーカード2001年11月末
DCカード2002年春
ダイナースクラブカード2002年春
トヨタティーエスキュービックカード2002年
三井住友銀行ネットデビット2002年春

※開始時期は発表があったもののみ

 

2002年 全国展開するコンビニに導入される

3月26日

 資本金を50億円から71.5億円に増資する第一次第三者割当増資を行い手続きが完了しました。新株1株の発行価額は50,000円、新株発行数は43,000株で、株主は合計19社になりました。今回の増資で新規の株主となったのは14社で、クレジットカード、信販、端末機器メーカー、印刷、不動産デベロッパーなどで、Edyの発展に寄与することが期待される企業です。増資分の引受先と株式数は表5のとおりです。

表5 第一次第三者割当増資の引受先と株式数

新規増資分の引受先株式数
 株式会社ソニーファイナンスインターナショナル16,800株
 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ6,000株
 株式会社三井住友銀行2,000株
 ソニー株式会社2,000株
 株式会社東京三菱銀行1,600株
株式会社ユーエフジェイカード1,600株
グローリー工業株式会社1,000株
サンデン株式会社1,000株
株式会社ジャックス1,000株
株式会社ダイエーオーエムシー1,000株
大日本印刷株式会社1,000株
凸版印刷株式会社1,000株
トッパン・フォームズ株式会社1,000株
株式会社日本コンラックス1,000株
富士通株式会社1,000株
富士電機冷機株式会社1,000株
三菱電機株式会社1,000株
森トラスト株式会社1,000株
ユーシーカード株式会社1,000株

 

7月19日

 関西など一部のエリアを除く全国のam/pmでEdy決済への対応が始まりました。これにより、Edyに対応する店舗数が、一気に1,000店以上も増えました。また、am/pmの店頭では、1円単位でのチャージに対応するほか、セルフガソリンスタンドなどを併設したデリスタウン(am/pmを中心にセルフガソリンスタンド、レストラン、薬局を併設した複合店舗)でのEdy決済による完全セルフサービスが可能になりました。

11月

 

 チケットのオンライン販売最大手のエンタテインメントプラス(e+:イープラス)(http://eplus.jp/)が、Edyを搭載したFeliCaカードをチケットとして利用する電子チケットシステムの開発を発表し、同年12月のコンサートからサービス運用を開始しました。

2003年 大幅増資、マイレージとの連携を開始

2003年1月30日

 資本金を71.5億円から一気に2倍近い130.435億円に増資する第二次第三者割当増資を実施しました。今回の増資では、1株あたりの発行価額が100,000円で、4社が新規の株主になりましたが、いずれも、すでに株主になっている企業のグループ会社です。増資分の引受先と株式数は表6のとおりです。

表6 第二次第三者割当増資の引受先と株式数

新規増資分の引受先株式数
 株式会社ソニーファイナンスインターナショナル17,900株
 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ6,000株
 グローリー工業株式会社5,000株
 株式会社日本コンラックス4,500株
 大日本印刷株式会社3,000株
 凸版印刷株式会社3,000株
 トッパン・フォームズ株式会社3,000株
 富士電機冷機株式会社3,000株
 ソニー株式会社2,100株
 株式会社東京三菱銀行2,000株
 トヨタ自動車株式会社2,000株
 富士通株式会社2,000株
富士電機株式会社2,000株
 株式会社ジャックス1,000株
株式会社ディーシーカード500株
 株式会社デンソー500株
 森トラスト株式会社500株
 ユーシーカード株式会社335株
株式会社アプラス300株
株式会社セントラルファイナンス300株

 

3月3日

 ANAのANAマイレージクラブで貯めたマイルを電子マネーに変換するサービスを6月1日から実施する予定であるとの発表がありました。ANAグループは、Edyが搭載された「AMC Edyカード」を発行し、10,000マイル単位で10,000円のEdyに変換します。さらに、AMC Edyカードでの決済200円につき1マイルが貯まります。AMC Edyカードは、既存のEdy対応店舗などで利用できます。また、空港内の全日空商事や国内のANAホテルもEdy決済への対応を進めることも発表されました。マイルから電子マネーへの変換は、世界初のサービスで、先駆的な例として注目されます。

写真2 AMC Edyカード
写真2 AMC Edyカード(クリックで拡大)

3月24日

 ソニー学園湖北短期大学で、Edy機能付きのICカード学生証・教職員証を9月から導入するとの発表がありました。このICカード学生証・教職員証は、在籍証明のほか、夜間や休日の入出門管理、教職員の在校状況把握、図書館などの施設利用、行事や授業(一部)の出席調査などの機能を備えています。また、Edy機能により、校内の自動販売機や食堂、売店でキャッシュレス決済が可能となります。なお、Edy機能は、既存のEdy対応店舗などでも利用できます。

5月22日

 サントリーグループのコーヒーショップ・バー「プロント」(運営会社:プロントコーポレーション)(http://www.pronto.co.jp)の全店でEdyを導入することに合意したとの発表がありました。6月からテスト導入を開始し、8月頃には全店での導入完了を予定しています。また、Edyの導入にあわせて、プロントの会員証とEdyの機能を持った「プロントEdyカード」も発行します。プロントのEdy導入は、外食チェーンがEdyを全店に導入する初めての事例です。

11月29日

 資本金を130,435億円から2倍近い214,535億円に増資する第三次第三者割当増資を実施しました。2003年は、合計2回の増資を行ったことになり、資本金が1年で約3倍まで増えたことになります。増資の発表時点の実績は、カード発行数330万枚、加盟店数3,100店、ショッピング利用件数160万件/月で、カード発行数はサービス開始当初の目標に届かないものの、加盟店数は目標を大きく上回る結果となっています。今回の増資は、発行価額が1株あたり125,000円で、アミューズメントや証券など、新たに28社が参加しました。増資分の引受先と株式数は表7のとおりです。

表7 第三次第三者割当増資の引受先と株式数

新規増資分の引受先株式数
 ソニー株式会社16,000株
株式会社第一興商16,000株
 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ8,000株
野村證券株式会社4,000株
日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社2,400株
 株式会社日本コンラックス2,000株
富士ゼロックス株式会社2,000株
富士通サポートアンドサービス株式会社1,600株
三井不動産株式会社1,600株
株式会社セガ1,200株
 グローリー工業株式会社800株
国内信販株式会社800株
株式会社寺岡精工800株
株式会社電通800株
日本オラクル株式会社800株
株式会社博報堂800株
富士物流株式会社800株
王子製紙株式会社480株
伊藤忠商事株式会社400株
エイベックス株式会社400株
NECインフロンティア株式会社400株
株式会社オリエントコーポレーション400株
株式会社ジェーシービー400株
 株式会社ジャックス400株
昌栄印刷株式会社400株
株式会社タイトー400株
 トッパン・フォームズ株式会社400株
株式会社ナムコ400株
日本信号株式会社400株
日本信販株式会社400株
日本電気株式会社400株
株式会社日立製作所400株
富士写真フイルム株式会社400株
株式会社ライフ400株

 

(後半に続く)

※本稿で掲載した社名、サービス名は、それぞれの発表が行われた当時のものです。

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