Q18:メタデータ(Metadata)とは?
最近メタデータという言葉をよく聞きますが、メタデータとは何でしょうか?
メタデータは、別名「データに対するデータ」とも呼ばれています。つまり、「実際に利用されるデータの特徴をコンパクトに記述したデータ」(例:テレビ番組情報)だということです。
≪1≫図書目録はメタデータの一種
例えば、図書館を考えてみましょう。図書館の最も重要なデータは書庫に並んでいる本自身です。しかし、何万冊もの本を抱えている図書館で、目的の本を捜し出すのはひと苦労です。
そこで利用されるのが、図書目録です。図書目録を利用すれば、著者名から検索することもできますし、本の題名から検索することもできます。
また、コンピュータを利用して、キーワードから目的の本を捜し出すことも可能です。この図書目録は、本来の本の情報をコンパクトにまとめているということから、メタデータの一種と言えます。
メタデータの利点は、このように、目的の情報にたどり着くための効率的な検索手段を提供することにあります。
≪2≫大量な番組コンテンツから、目的物を見つけ出す効率的な手段
デジタル放送におけるメタデータの役割も、図書館の図書目録とまったく同様です。多チャンネル化が可能で、伝送媒体を選ばず、蓄積型放送あるいはサーバー型放送も利用できるデジタル放送では、膨大な数の番組コンテンツから所望の番組コンテンツを見つけ出すための効率的な手段が必要となります。メタデータは、まさにこの目的のために利用されるわけです。
例えば、番組のタイトル、出演者、あらすじ、ジャンルなどが番組コンテンツのメタデータとなりえます(図1-4)。この他にも、たくさんの種類のメタデータ項目が国際標準として用意されており、番組コンテンツの洪水に対する強力な支援データとして利用されることになります。
≪3≫メタデータによるコンテンツの有効利用
ところで、「次のビジネスを制するものはコンテンツを制するものである」と言われるほど、コンテンツは非常に重要なものです。コンテンツをいかに流通させるかが、ここでのキーポイントとなります。しかし、そのコンテンツがあるということをユーザーに知らせなければ、コンテンツが流通するということもありません。そこで重要になってくるのが、メタデータの流通です。
例えば、インターネットなどでは、さまざまな映画の批評などを掲載しているWebページがあります。残念ながら、それらの記述形式はバラバラで、先に述べたようなメタデータとしては利用できません。仮に、このようなメタデータすべてが前述の国際標準方式に沿った形で記述されたとしましょう。そうなるとまったく話は変わってきて、インターネットに点在している各種の番組メタデータを、デジタル放送番組コンテンツを選ぶために使用することができます。つまり、メタデータは、番組制作者だけでなく、誰が作成してもよいものとして、インターネットを利用したそれらの自由な交換を考えるべきではないでしょうか。
従来は、コンテンツそのものの流通のために莫大な宣伝費を制作者が負担するのが通常でしたが、インターネットを利用して自由なメタデータ流通を促進することができれば、結果的にコンテンツそのものの効果的な流通につながるのです。もちろん、メタデータは売買の対象であってもかまいませんし、無料で交換してもかまいません。このようなメタデータの自由な交換は、いわば、メタデータ・コマースとでも呼ぶべきもので、新しいビジネスの種がここにあるのではないでしょうか。
※この「Q&Aで学ぶ基礎技術:デジタル放送編」は、著者の承諾を得て、好評発売中の「改訂版 デジタル放送教科書(下)」の第1章に最新情報を加えて一部修正し、転載したものです。ご了承ください。