≪3≫グローバルからローカルへビジネス・パターンが大きく変わるNGN
■IPTVが世界的に注目され、ITU-Tでの標準化が進む一方、デファクトな製品やサービスも出てきていますが?
篠浦 これからは放送と通信の融合は、間違いなく起こります。ただ、日本でどういう方法で融合していくのか分からないところがあります。
海外では、「IPTVサービス」と呼ばれるものがありますが、IPTVにはいくつかの方式があり、例えば既存インターネット対応のベストエフォート型IPTV、あるいはNGN対応のIPTVなどがあります。当社では、それぞれの方式に対して対応しながらサービスを提供していきたいと考えています。また、現在ITU-TでNGNリリース2の標準化が進み、IPTVがその中核的なサービスの1つとして位置づけられていることもありますので、注目しているところです。
さらに、IPTVのバックグラウンドにある、放送と通信の融合というテーマでは、米国ではCATVによるサービスが広く普及し、ケーブル(CATV)・オペレーターを中心に活発な議論が進んでいますが、米国と同じ方式が日本や欧州で普及するとは考えにくい面があります。
■世界の各地域ごとにビジネスのパターンが変わってくるということですね。
篠浦 このことは実はとても大きいところなのです。今までは、通信サービスはグローバル・スタンダード(国際標準)をベースにして行ってきました。ところが、NGN時代になり、いろいろなサービス、端末、コンテンツなどが出てくると、グローバル・スタンダードよりも、地域ごとの特性が重要になるのです。これは、放送サービスに似たところがあり、例えば欧州ではDVB方式、米国ではATS、日本ではISDB-Tというように地域・国ごとに標準があり普及しています。これは、NGNが放送もターゲットに入れていることを考えるとわかりやすい面があります。
ですから、サービスを展開する上でも、その地域でのパートナーシップであるとか、ビジネス・モデルというのが必要になってきます。
情報家電の分野でも、地域ごとに、習慣や文化、プレーヤーがまったく違います。
先ほどの大リーグの例のようなサービスをやるときにも、家に置く端末は同じでも、そのうえでできるサービスは国によっていろいろな違いが出てきます。そういう意味で、NGN時代のビジネスでは、パートナーシップがとても重要になるのです。
■ありがとうございました。