2016年5月2日、経済産業省(以下:経産省)は、2016年5月1~2日にG7「北九州エネルギー大臣会合」を開催したことを発表した。
先進主要7ヶ国(日・米・加・独・仏・英・伊)、EU、国際エネルギー機関(IEA)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)から閣僚等が出席し、林経済産業大臣が議長を務めた。
エネルギーは経済活動の基盤であるとの認識に立ち、「グローバル成長を支えるエネルギー安全保障」を大きなテーマに据え、多様で重要なエネルギーの課題と対応について議論を深めた。
世界の成長に向けた「エネルギー投資の促進」、エネルギーを巡る市場や地政学的な変化を踏まえた「エネルギー安全保障の強化」、そして、COP21後初のG7エネルギー大臣会合として、その成果を受けた「持続可能なエネルギー」について議論を行い、具体的なメッセージやアクションを共同声明「グローバル成長を支えるエネルギー安全保障のための北九州イニシアティブ」にとりまとめた。
同共同声明は月末のG7伊勢志摩サミットに報告され、首脳間の議論の基盤となる。
◆共同声明のポイント
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成長を支えるエネルギー投資の促進:
世界経済の成長を支えるためのエネルギー投資を促進する取組を主導していくことで一致した。エネルギー価格安定のための上流投資、再エネを始めとしたクリーンエネルギーの技術開発投資、エネルギー効率向上のための質の高いインフラ投資、この3点の重要性について認識をした。エネルギー投資の促進は、雇用や経済を支えるために重要であり、伊勢志摩サミットの主要テーマである世界経済の安定にもつながる。
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天然ガスセキュリティ:
アジアを中心に利用が急拡大する天然ガスについて、国際的な緊急時対応力を強化するため、IEAが中心となり、緊急時訓練を行う等の具体的な行動を取ることに合意した。また、仕向地条項の緩和に加え、LNGに関する価格指標の確立、LNG基地等のインフラの開放といった包括的な取組を通じ、国際的なLNG市場の確立を目指すことに合意した。日本としては、同日に発表した「LNG 市場戦略」に従い、LNG 市場の確立に向けた取組を進め、2016年11月に東京で開催予定のLNG産消会議も活用し、生産国、消費国双方との連携を強化していく。
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原子力安全:
原子力利用国において、原子力政策に対する社会的理解を高めるために、科学的知見に基づく対話と透明性の向上が極めて重要との認識を共有した。原子力の利用を選択する全ての国に対し、高いレベルの原子力安全、核セキュリティ及び核不拡散を確保し、その専門的知見や経験を共有することを要請した。
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サイバーセキュリティ、電力安定供給:
G7が協働し、エネルギー分野におけるサイバーセキュリティの調査を実施し、地域と分野を超えた専門家の連携を加速することで一致した。さらに、再エネの拡大や自由化が進む中での電力安定供給対策については、広域系統運用に対応した新たな電力市場のデザインを目指していくことで一致し、IEAやIRENAに対し、引き続き質の高い分析や政策提言を行うことを要請した。
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エネルギー技術の革新:
G7が「ミッション・イノベーション」を通じて、クリーンエネルギーの技術革新を後押しすることで一致するとともに、IEAのエネルギー技術ロードマップ第二弾の開始を歓迎した。
その他、詳細についてはリンク先を参照。
◆リンク
経産省
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