ピクセラは2016年12月12日、一般財団法人 移動無線センターが12月13日(火)~12月15日(木)に予定している「PS-LTE(Public Safety-LTE)」の通信試験に、ピクセラが市販している家庭向けセンサー機器も加わると発表した。試験の場所は新宿区西新宿の移動無線センター。
PS-LTEとは、LTEの規格を策定する3GPPが警察無線、消防無線など、公共の安全のために使うことを想定して策定している通信規格。現在、警察無線や消防無線などの公共サービスの通信は音声通信がほとんどで、アナログ通信、あるいは狭帯域のデジタル通信を使っている。PS-LTEは通信帯域を広げ、通信速度を上げることで、データや画像などを送れるようにすることを狙ったものだ。
ピクセラは家庭向けセンサー機器として、窓やドアの開閉状態を検知する「開閉センサー」と、温度、湿度、明度、紫外線、振動、人感を検知する「マルチセンサー」を提供している。あわせて、これらのセンサーと無線通信技術「Z-Wave」で通信し、取得したデータをインターネット経由でクラウドに送信するゲートウェイも提供している。ピクセラはセンサーとゲートウェイを合わせて、「Conteホームサービス」として売り出している。
図 ピクセラがConteホームサービスの一環として提供しているマルチセンサーと開閉センサー
出所 ピクセラ
今回の試験では、PS-LTEの用途として警察、消防など公共サービスのデータ送信だけでなく、ホームセキュリティシステムのデータ送信にも役立つと考えて実施するもの。ピクセラはConteホームサービスが備える開閉センサーに加えて、デンマークPoly Control社のスマートロック「danalock」もZ-Waveおよるホームネットワークに加えて、玄関の鍵の開閉状況も送信するようにした。
実際にPS-LTEで通信するゲートウェイには、イスラエルAltair Semiconductor社のチップセットを組み込み、移動無線センターが設置するLTE基地局と通信するようにした。ピクセラはこの通信局を通して、インターネット上のサーバーと通信し、「Conteホームサービス」の動作を検証する。
図 PS-LTEの接続試験環境
出所 ピクセラ
ピクセラは今回の試験で、一般的なLTEよりも災害に強いと期待できるPS-LTEでサービスを提供できることを確認し、災害発生時に備えた見守りサービスなどにPS-LTEを応用したい考えだ。また、PS-LTEに限らず、カテゴリMやNB-IoTといったLPWA(Low Power Wide Area)通信への対応を検討していく。ゲートウェイ経由でのインターネット接続だけでなく、センサーから直接インターネット接続するような機器についても検討するとしている。 移動無線センターは、今回の通信試験で通信ができること、通信の性能などを検証し、PS-LTEをどのように広げていくかを検討する。現在、移動無線センターは消防や自治体に向けて、移動通信センターが立てた基地局で無線サービスを提供しているが、PS-LTEについても同じようにサービスを提供するのか、ほかの業者が通信網を構築するほうが良いのかを検討する。
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