WILLER EXPRESS JAPANと富士通交通・道路データサービスは、高速バスを利用して路面状態を診断するサービスを提供するための検証を実施したと発表した。
WILLER EXPRESS JAPAN(WEJ)と富士通交通・道路データサービス(FTRD)は2016年12月28日、WEJが運行する高速バスを利用して、FTRDが提供している路面状態を診断するサービスを提供するための検証を実施したと発表した。FTRDが提供しているサービスは「道路パトロール支援サービス」と呼び、車両にスマートフォンを載せ、スマートフォンが備える加速度センサーで路面の凹凸や段差を検知し、クラウドにデータとして集積するサービスだ。
図 検証に使用した車両(左)と、車両に載せたスマートフォン(右)
出所 WILLER EXPRESS JAPAN
検証期間は2016年10月から11月。WEJが運行する同一の車両で、同一の区間を4回走行した。100m単位で区切った評価区間を設定し、それぞれの区間の振動レベルを5段階で評価した。
4回の走行で得たデータを比較したところ、評価結果に大きな違いが出た区間は全4000区間中100区間ほどとなった。しかもその区間は走行車線が異なるなど、走行条件が異なっていた。ほかの9割以上の区間では評価に違いがなかったとしている。また、減速帯など、強い振動が発生する区間を適切に処理できていたことも確認できた。
図 高速バスを使った評価結果のサンプル
出所 WILLER EXPRESS JAPAN
この検証で得られたデータは長距離バスの運転手にとって、業務経験年数に関係なく役立つデータであり、各路線の走行に注意が必要な地点を容易に把握できることから、運行サービスの品質向上に役立つということも確認できたとしている。
WEJは今後、路面データを収集する機器としてすでに各車両に搭載している車載タブレットを有効に活用することを検討するという。さらに、路面評価データを各乗務員に効率良く周知させる仕組みを検討するとしている。FTRDは、この検証の成果を活かして、高速路線バス事業者向けサービスを新たに提供することを予定している。
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