アメリカKionix社は、加速度センサーの新製品「KX126」を開発したと発表した。
アメリカKionix社は2017年6月15日、加速度センサーの新製品「KX126」を開発したと発表した。サンプル出荷はすでに開始しており、サンプル価格は1000個購入時に1個当たり90円(税別)。量産は8月から開始する予定。Kionix社はロームが2009年11月にロームが買収した企業。半導体製造技術で微細な機械部品を作るMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を得意としており、MEMS技術を応用した加速度センサーを主に開発販売している。
図 Kionix社が新たに開発した加速度センサー「KX126」
出所 Kionix社
今回Kionix社が開発したKX126は、加速度センサーに歩行検知と歩数計測機能を内蔵した点が最大の特徴。現在のところ、加速度センサーを使って歩数計測などの機能を実現するには、加速度センサーの検出値をマイコンで動作するプログラムで処理して歩数を算出するのが一般的だ。これには歩数計測のための回路設計が必要になるほか、マイコンで動作させるプログラムを開発する必要がある。さらに、マイコンの処理能力を歩数計測のために使うので、消費電力も大きくなる傾向がある。
KX126は専用のマイコンと、歩行検知と歩数計測機能を実現するプログラムを内蔵しており、KX126本体から直接歩数などのデータを取得できる。Kionix社によると、一般的な加速度センサーの消費電力量はおよそ150μA。歩数計測の機能を付加するには、これにマイコンの消費電力を想定する必要があった。ところがKX126を使えば、加速度センサーの消費電力量にわずか100nAを上乗せするだけで歩行検知や歩数計測の機能を付加できるという。パッケージの外形寸法も2×2×0.9mmと非常に小さいので、狭いスペースにも搭載できる。
ロームによると、加速度センサーの供給先から「加速度センサー自体に歩数計測などの機能を持たせてほしい」という要望を多く受けていたという。加速度センサーがスマートフォンに載り、広く普及した現在、消費者が最も求める機能が歩行検知や歩数計測になったということを表す要望だと言える。
またロームは、KX126を利用することで、スマートフォンだけでなくウェアラブル機器の設計が容易になり、機器の消費電力量を抑えることができるとしている。IoTのセンサー端末としてウェアラブル機器を使う例も増えつつある。消費電力量削減を可能にするKX126は、ウェアラブル機器の普及に貢献する存在となり得ると言える。
■リンク
Kionix社
関連記事
世界初の家庭用電池式水素警報器を開発、新コスモス電機
5月29日 0:00
50MHz駆動の低消費電力組み込み用チップで高精度かつ高性能なディープラーニング、国産技術で実現
2017年2月13日 0:00
オムロン、人間が放つ熱を検知する人感センサーを開発ー東京電機大学が校舎の省エネに活用
2017年9月14日 0:00
東大と大日本印刷が皮膚に貼り付け可能なディスプレイを開発、人間の生体情報表示に活用
2018年2月19日 0:00
産業界のDX/Society 5.0を牽引する2020年の半導体市場はどう変化するか
2020年5月9日 0:00
ソリトンシステムズ、物流貨物の輸送時の環境を検知してデータを表示するシステムを開発
2017年6月20日 0:00