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ソラコムがLoRaWANの通信サービスを提供開始、他者とゲートウェイを共有する契約形態も用意

2017/02/08
(水)
SmartGridニューズレター編集部

ソラコムは、IoT機器向けデータ通信サービス「SORACOM Air」に、LPWAの一種である「LoRaWAN」を利用するサービスを加えると発表した。

ソラコムは2017年2月7日、IoT機器向けデータ通信サービス「SORACOM Air」に、LPWA(Low Power Wide Area)通信方式の一種である「LoRaWAN」を利用するサービス「SORACOM Air for LoRaWAN」を加えると発表した。従来は「SORACOM Air」の名称で、携帯電話網を利用した通信サービスを提供していたが、LoRaWANを利用した通信サービスの追加により、携帯電話網を利用したサービスは名称を「SORACOM Air for セルラー」に改める。

SORACOM Air for LoRaWANの特徴は、免許不要なLoRaWANネットワークの構成を可能にしながら、SORACOM Air for セルラーと同じように末端の機器の状態などを管理画面で確認できる点にある。さらに、SORACOM Air for セルラー向けに提供していた各種アプリケーションサービスも利用可能だ。発表時点では、ソラコムのクラウドサーバーまで届いたデータを暗号化した通信路で指定のサーバーに送信する「SORACOM Beam」と、データをAmazon Web Servicesなどのパブリッククラウドサービスに送信する「SORACOM Funnel」、ソラコムのクラウドサーバーに蓄積したデータをグラフなどの形で可視化する「SORACOM Harvest」を利用できる。

図 SORACOMの管理画面。LoRaWANでつながっている末端の機器を確認できる

図 SORACOMの管理画面。LoRaWANでつながっている末端の機器を確認できる

出所 ソラコム

SORACOM Air for LoRaWANを利用するには、LoRaWANのゲートウェイを購入、もしくは賃借する必要がある。ゲートウェイはLoRaWANで末端のIoT機器と通信しながら、その通信をインターネット側に中継する。ゲートウェイはインターネット側の通信に携帯電話通信網(3G/LTE)を利用する。ゲートウェイの携帯電話通信の料金は、月々のLoRaWANサービス利用料金に入っており、毎月定額で利用できる。

図 「SORACOM Air for LoRaWAN」のネットワーク構成。ゲートウェイからインターネットへの通信には携帯電話通信網を利用する

図 「SORACOM Air for LoRaWAN」のネットワーク構成。ゲートウェイからインターネットへの通信には携帯電話通信網を利用する

出所 ソラコム

ゲートウェイを購入した場合、そのゲートウェイは購入者だけが利用できる。そして、ソラコムからゲートウェイを賃借して設置する場合は、ゲートウェイを無関係の他者と共用することになる。ソラコムはゲートウェイを購入する利用方法を「所有モデル」、賃借して他者と共有する方法を「共有サービスモデル」と呼んでいる。共有サービスモデルを選んだ場合、多くの人がゲートウェイを利用できるように、ソラコムがゲートウェイ設置場所の情報を同社のWebサイト「SORACOM LoRa Space」で公開する。サービス発表時点で、北海道札幌市に1台、東京都世田谷区に1台、東京都港区に3台、東京都渋谷区に1台、東京都千代田区に1台、愛知県名古屋市に1台、大阪府大阪市に2台、沖縄県うるま市に1台の合計11台の共有ゲートウェイを用意する。

購入モデルの場合、ゲートウェイの購入料金は6万9800円(税別:以下同様)。ゲートウェイの所有者は購入者ということになる。サービスの利用料金は、ゲートウェイが1台の場合月額3万9800円。ゲートウェイが2台目以降になると1台当たり2万9800円加算となる。この料金はゲートウェイの携帯電話通信料金も含んだものになる。さらに、月額料金と同額分のソラコムサービス(SORACOM Beam / Funnel / Harvest)を利用できる。

共有サービスモデルの場合、初期費用としてゲートウェイ登録料金が1台当たり2万4800円かかる。ゲートウェイの所有者はソラコムということになる。加えて、月額のサービス利用料金がゲートウェイ1台当たり9800円必要だ。この料金に、ゲートウェイの携帯電話通信料金を含んでいるところと、月額料金と同額分のソラコムサービスを利用できるところは購入モデルと変わらない。ソラコムは、共有のゲートウェイが増えることで、LoRaWANのサービスエリアが広がっていくと見込んでいる。購入モデル、共有サービスモデルともに、2月7日から利用申込を受け付けている。製品は3月から順次発送していく予定。購入するにはソラコムのWebサイトでユーザーアカウントを作成し、管理画面から注文を出す必要がある。

今回販売するゲートウェイは屋内に設置することを想定したもの。屋外設置向けゲートウェイも発売を予定しているが、発売時期は未定。また、ゲートウェイだけでなく、IoT機器に組み込むLoRaWAN通信モジュールも販売する。Arduinoの上に積み上げて使用する「開発シールド」の形で提供する。価格は1つ7980円。サービス発表を記念して先着順、数量限定で1つ4980円で販売するキャンペーンを実施する。ゲートウェイと同様、2月7日から購入申し込みを受け付けており、3月から順次発送の予定。

図 LoRaWANのゲートウェイ(左)と、Arduino開発シールド(右)

図 LoRaWANのゲートウェイ(左)と、Arduino開発シールド(右)

出所 ソラコム


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ソラコム

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