国土交通省は2017年4月25日、全国の「道の駅」を拠点とした自動運転車の実証実験を実施することを発表した。実験の拠点となる「道の駅」は全国10カ所。技術的な項目を検証する場となる5カ所は国土交通省が選定した。自動運転車を活用したビジネスモデルのあり方について検証する5カ所については、全国から公募する。
国土交通省が技術的な項目を検証する場として選定したのは、秋田県北秋田郡の「道の駅 かみこあに」、栃木県栃木市の「道の駅 にしかた」、滋賀県東近江市の「道の駅 奥永源寺(おくえいげんじ)渓流の里」、島根県飯石郡(いいしぐん)の「道の駅 赤来(あかぎ)高原」、熊本県葦北郡(あしきたぐん)の「道の駅 芦北でこぽん」の5カ所。いずれも、山がちな地形で農地が散在する「中山間(ちゅうさんかん)地域」だ。自動運転車はDeNA、アイサンテクノロジー、先進モビリティ、ヤマハの4社の車両を使用する予定。
図 国土交通所が技術的な項目を検証する場として選定した5つの道の駅
出所 国土交通省
国土交通省は今回の実証実験で、自動運転車を中山間地域の住民の足として活用することを想定している。道の駅には自動運転車の制御センターを設置し、自動運転車の基地(ステーション)とする。中山間地域の住民からの呼び出しに応えて、自動運転車がサービスを提供するというものだ。
買い物や病院への通院、公共サービスを受けるために役所に行く、などの要望に応えて、自動運転車が中山間地域の住民を乗せて目的地に向かう。また、宅配便の集荷や、農作物の出荷、集荷など、人ではなく物を載せるサービスの検証も予定している。以上のようなサービスを想定して、国土交通省は、病院や役場、路線バスのバス停が近くにある道の駅5カ所を選定した。
図 自動運転車は道の駅を基地として、中山間地域の住民の呼び出しに応じて出発し、要望に応じて住民や荷物を運ぶ
出所 国土交通省
中山間地域は高齢化が進む日本の中でも、特に高齢化と人口減少が進んでいる地域だ。電車や路線バスなどの公共交通機関が、こういった地域も走行ルートとしてくれれば良いのだが、中山間地域では主に自家用車が住民の足となっており、公共交通機関を利用しようにもまず自家用車で駅やバス停に向かわなければならないということが多い。そして、自家用車を足として使っている住民も高齢化が進み、運転を止めてしまうという例が増えつつある。国土交通省の今回の実験は、このような中山間地域住民の足として自動運転車を活用しようという試みと言える。
ビジネスモデル検証の場となる5カ所の応募は5月25日まで受け付ける。応募するには、地域が抱える問題と、その問題を解決する自動運転車を利用したサービスの案、地域の協力体制などを指定の用紙に記載して提出する。国土交通省は書類を審査して7月ごろに5カ所の道の駅を選定する予定。当選した道の駅では、車両準備などの実験環境の準備を済ませて、早期に実験を開始する。技術検証、ビジネスモデル検証どちらの実証実験も、2017年度末に中間取りまとめを作成する。
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国土交通省