ドイツRobert Bosch社は2017年5月29日(ドイツ時間)、高性能な車載カメラの開発に向けてソニーセミコンダクタソリューションズと提携すると発表した。運転支援システムや自動運転システムはカメラを活用するようになっている。Robert Bosch社は、現状の車載カメラでは映像を捉えるのが難しい局面でも、確実に映像を捉えられるカメラを開発するために、CMOSイメージセンサーで世界的に圧倒的なシェアを誇るソニーセミコンダクタソリューションズとの連携を決めた。
Robert Bosch社は、現状の車載カメラが苦手としている場面を人間と同じだとしている。たとえば晴天の日に太陽が低い位置にあると人間はとてもまぶしいと感じ、前方を見るのが難しくなってしまう。また、よく晴れた日にトンネルから出ると、しばらくのあいだまぶしく感じてしまい、前方を見づらくなる。明る過ぎるときや急に明るさが変化するとき、そして明るさが足りないとき、人間の眼はうまく対応できないが、運転支援システムや自動運転システムのカメラもこれは同じだという。
Robert Bosch社は、何年もの間自動車用に周囲360°を映し出すカメラを作り続けてきたという。今回の連携ではRobert Bosch社とソニーセミコンダクタソリューションズの両者が技術を持ち寄って、次世代のカメラを作るとしている。
ソニーセミコンダクタソリューションズは4月12日に、車載用CMOSイメージセンサーの新製品「IMX390CQV」を発表し、5月からサンプル出荷を始めている。大きさは1/2.7型で、有効画素数は245万画素。Robert Bosch社が挙げている、従来のカメラが苦手とする場面でも確実に画像を捉える能力を持つセンサーだ。
図 ソニーセミコンダクタソリューションズが4月12日に発表した車載用CMOSイメージセンサーの新製品「IMX390CQV」
出所 ソニーセミコンダクタソリューションズ
IMX390CQVはトンネルの出入り口など、急に明度が変化する場面でも黒つぶれや白飛びを起こさずにノイズの少ない鮮明な画像を撮影できるという。また暗い場面にも強く、0.1ルクス(月明かりしか光源がない状況に相当)という暗い場面でもカラー撮影が可能で、障害物や人間を捉えることが可能だという。
図 「IMX390CQV」を使って、0.1ルクスの条件で撮影した画像(左)。右は0.1ルクスの条件で人間に見えるもの
出所 ソニーセミコンダクタソリューションズ
まるでこれを見てRobert Bosch社が提携を決めたと思わせるような商品だ。IMX390CQVの量産開始は2018年3月の予定。そのころまでにRobert Bosch社がどんな車載カメラを開発するのか楽しみだ。
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Robert Bosch社