中部電力、デンソー、トヨタ自動車、トヨタタービンアンドシステムの4社は2017年6月1日、愛知県豊田市でVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)を構築する「バーチャルパワープラントプロジェクト」を開始したと発表した。豊田市において再生可能エネルギーを利用して発電した電力を最大限地元で消費するために、家庭や企業の需要などを制御するシステムを構築するとしている。
豊田市には、風力・太陽光・バイオマスを利用した発電設備が存在するが、特に風力と太陽光は天候や時間帯などの要因によって発電量が大きく変動する。そこで、豊田市内の一般世帯や企業が保有するプラグインハイブリッド車(PHV)やヒートポンプ給湯器、定置型蓄電池などをコンピューターやネットワークを利用して制御する。
再生可能エネルギーによる電力の発電量変動に合わせるように、PHVや蓄電池の充放電、ヒートポンプの運転時間などを制御して電力需要を調整し、再生可能エネルギーを最大限活用する。再生可能エネルギーによる電力が得られない時間帯は、蓄電池などから放電することで電力需要に対する供給を作り出す。世帯や企業が持つ電源を1つの発電所のように機能させるわけだ。
図 世帯や企業が持つ電源を制御して、1つの発電所のように機能させる
出所 トヨタ自動車
再生可能エネルギーによる電力に限らず、電力を地域全体で最大限に効率良く利用することを狙う試みと言える。4社は、効率良く電力を活用できる送電網基盤を構築するために、コンピュータやネットワークを活用した次世代のエネルギーマネジメントシステムとなる「バーチャルパワープラント」を構築するとしている。そして、バーチャルパワープラントで作り出した電力を一般送配電事業者に提供し、電力系統の安定化に協力することが事業として成り立つかどうかを検討するともしている。
また、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大を可能とする電力系統の実現を目指して、蓄電池等の制御で、電力系統の電圧や潮流の調整にどれほど貢献できるのかも検証する。4社はこのプロジェクトを2020年3月まで続行し、新事業の創出と、CO2排出量削減を通して地域に貢献していくとしている。