デンマークDONG Energy社は2017年6月7日(英国時間)、イングランド、リバプール湾で稼動中の巨大洋上風力発電所「Burbo Bank Offshore Windfarm」に大規模蓄電池を接続する計画を発表した。洋上風力発電所に蓄電池を接続するのは、これが世界初の試みだという。2017年末までに設置し接続する計画だ。風力発電所の発電出力変動を原因とする、電力系統の周波数の乱れに対応することを狙った施策だ。
Burbo Bank Offshore Windfarmは2007年から稼働を開始した巨大洋上風力発電所。ドイツSiemens社製の出力が3.6MW(3600kW)の風力発電設備を25基設置しており、合計出力は90MW(90000kW)となる。イギリスの一般世帯の年間電力消費量にして8万世帯分を超える電力を年間で発電するという。イギリス政府のガス・電力市場管理局(Office of Gas and Electricity Markets:OFGEM)の調べによると、イギリスの一般世帯の年間電力消費量は平均で3300kWh。単純に換算すれば発電量は、264GWh(2億6400万0000kWh)を超えることになる。
図 Burbo Bank Offshore Windfarmの位置。マージー川の河口近く、Wallasey(ウォラシー)の町からおよそ7.2kmの洋上にある
出所 DONG Energy社
Burbo Bank Offshore Windfarmでは、発電した電力を海底ケーブルで送電し、Wallaseyにある変換所が電力系統につなげる形に変換する。今回、DONG Energy社が公表した計画では、風力発電所と変換所の間に、出力が2MWで、蓄電容量が2MWhの蓄電池を接続することになっている。蓄電池はスイスABB社が提供する。
図 DONG Energy社が明らかにした蓄電池設置計画
出所 DONG Energy社
DONG Energy社の幹部は、「洋上風力発電所と蓄電池の組み合わせがどれほど役に立つのか証明する日が待ち遠しい。現在DONG Energy社はイギリスで8件の洋上風力発電所を運営しており、4件を新たに建設中だ。今後の技術革新の成果を取り入れて、洋上風力発電所を電力系統の安定に役立つものにしていきたい」と語った。
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DONG Energy社